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☆★聖なる夜は思いと努力が実る時★☆
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月明かりだけが部屋を照らしている…
その部屋から男と女の荒い息遣いが聞こえる…
「「はぁはぁはぁ」」
男と女は並んで寝転んでいる…
だが暫くして再び男と女の影が一つになった…
そんな男と女を月だけが優しく見守っていた…
「…やっと終わった…」
祐一はPCの電源を切り、深い溜め息を吐いた
「北川の奴、くだらないゲームを貸しやがって」
どうやら北川と言う男に借りたゲームをやっていたらしい
「…寝よ…」
祐一は電気を消して布団に入り深い眠りに入った
この後にあるかもしれないけどないかもしれない絶望の未来を知らずに………
「…決めてもない事を言うなよ…Zzzzz…」
…グフッ…痛い所を…
その頃ある家の一つの部屋では…
「…寝れません…」
一人の少女がベットで狐を抱きながら寝転んでいる
狐は少女の腕の中ですやすやと眠っている
「…明日、相沢さんにあれを渡すだけなのに…なんでこんなに緊張するんでしょうか…」
その少女の見つめる先には毛糸で編まれた赤いマフラーと黄いマフラーが大事に置かれていた
「…相沢さんは喜んでくれるでしょうか?…」
そう言いながら少女はマフラー作りに挑戦した切欠を思い出していた…
「お〜い、みっしー」
「みっしーと呼ばないで下さい!!
…何か御用ですか?」
「別に、ただ天野を見かけたから声をかけただけだ」
「だったらもっと普通に話しかけて下さい」
「別にそんなの俺の勝手だろ」
「…はぁ〜…相沢さんらしいです…」
「むっ、失礼な」
あの6つの奇跡が起きてから約1ヶ月が過ぎた頃の話…
6つの奇跡…
1つ目は舞が自分の力を受け入れられた事…
2つ目は秋子さんが交通事故に会い、命は助かったが普通の生活には戻れないと言われていたが脅威のスピードで治り、普通に生活が出来るようになった事…
3つ目はあゆが7年の眠りから起きた事…
4つ目は栞の病気が何時の間にか治っていた事…
5つ目は妖弧に伝わる秘術を使った代償として消えたはずの真琴が帰って来た事…
そして…
6つ目は私が嘗て出会って消えてしまった妖弧である美季が帰って来た事…
4つ目以外は奇跡だと思いますが、4つ目は違うと言って良いかも知れません
何故なら入院当初、栞は本当にただの風邪だったんですから…
それなのに病院に閉じ込められ、精神的な事から重度の病気になったのだから…
そうなった理由は病院側のミスにある
カルテを他の人のと間違えられて強制入院させたのだから…
今では病院側もミスだったと気付き、けっこうな額を美坂家に払って、今でも無料で診察などをしてくれているらしい
最近、TVで良く見る病院よりは数段誠意が感じられる対応である
「そうだ
今から天野の家に行って良いか?」
「…いきなり話が変わりましたね…」
「駄目か?」
「別に良いですが…変な事はしないで下さいね」
「…天野はそんなふうに俺を見てたのか…」
「ええ(即答」
「…ひでぇ…」
「…行きましょうか…」
天野がさっさと歩き出し、それに気付いた祐一が慌てて後追おう
予断だが最近、祐一は天野家に暇さえあれば来ている
本人曰く、「天野といると安心できる」らしい
まぁ、天野も「相沢さんといると安心できます」っと言ってたので問題はないだろう
…祐一の周りの女性達にとっては大問題でしょうけど
天野家に付いた祐一は天野より先にずかずかと上がり込みコタツに潜り込んだ
後から来た天野も何時もの事なので別に気にした様子はない
「相沢さんは相変わらず寒がりですね」
「俺が寒がりなんじゃなくてここの寒さが異常なんだ」
祐一の勝手な言い分に天野は苦笑いを浮かべる
「だったらマフラーでも買ったらどうですか?」
そう言った天野の方を悲しそうな目で見ながらこう言った
「…そんな金があると思うか?」
その問いに天野は苦笑いを浮かべた
何故ならメインヒロイン達の集りによって祐一の貯金は極限まで衰えているのを知っているからである
最近はサブヒロイン達のおかげで大分マシになったが一度減った貯金は中々元には戻らない
「…愚問でしたね…」
「なぁ天野は編み物できるのか?」
「編み物ですか…
はっきり言って苦手ですね…
なんでですか?」
「天野に編んで貰おうと思ってな…
まぁ、苦手なら諦めるかな…」
「………(マフラー…クリスマスまでには間に合うでしょうか?)」
「あの次の日から作り始めて出来たのが昨日…
ぎりぎりでしたね…」
そう言いながら天野が見た所には美季の寝床になっている大量の毛糸が…
「あんなにマフラーに興味を持つとは思いませんでした」
本当はもっと早くできる物ですがなんども美季にマフラーを解かれてしまい、大変だったようです
なんせ今では普通の狐とさほど変わりありませんが元妖弧だけに頭が良いので
高い所に置いても部屋に置いてある家具を足場にして取るので天野が帰ってくる時にはもう毛糸に逆戻りしているのです
最近は雫音の御影で、側に置いていても枕にしたりしかしませんが…
あの大量の毛糸は美季が悪戯をして使えなくなったマフラーのようです
「雫音さんに助けて貰わなかったら間に合いませんでしたね」
「…雫音さんと言えば…
…美季と真琴が帰って来たのはあの後でしたね…
あの時は本当にびっくりしましたよ」
そう言いながら優しく美季の頭を撫でる
天野家で祐一と天野がまったりしていると天野家のチャイムが鳴った
何かを感じた二人はそろって玄関に向かって歩いて行った
二人は玄関を開けた
「こんにちは」
玄関を開けるとそこには2匹の狐を大事そうに抱えた女性が立っていた
天野と祐一はその女性が抱えていた狐を見て驚いていた
「…真琴…」
「…美季…」
「ふふふ…分かってくれてなかったらどうしようと思いました」
「…貴方は誰なんですか?」
美汐が美季から女性の方に目を向ける
「私ですか?
私は妖孤である狐達と共に住んでいる"雫音"と言います」
雫音は軽く頭を下げた
「…天野 美汐です…
…なんで貴方が美季と真琴と共にいるんですか?」
「…相沢 祐一…」
二人も軽く頭を下げる
祐一は少し警戒しているようだ
「………
お二人は妖孤が狐達に取ってどういう者達かわかりますか?」
雫音は二人に美季と真琴を渡しながら突然そう言って来た
「?…妖孤は狐の仲間なんじゃないんですか?」
「そうじゃないのか?」
「仲間には違いないんですが…
そうですね…
人の中には普通の人が持ってない"力"を持って生まれる人がいるでしょ?
狐の中にも普通の狐が持ってない"力"を持って生まれる狐がいるんです…
それが妖孤と言われる狐です」
雫音が少し悲しそうにそう言った
「…そうだったんですか…」
「…そうゆう事は妖孤達は…」
祐一は妖孤達が狐達にとってどういう存在なのか感付いたようだ
「そう…
自分と違う"力"を持つものは恐れられる…
人間と同じです…
自分にない"力"を持つものを恐れ…
あるものはそのものをいないものと考え、避け…
あるものはそのものをこの世に居るべきではないと勝手に考え、同じ考えの者達と殺そうとし…
あるものはそのものの"力"を欲し、そのものを捕まえようとする…
"力"を持つものは…
周りと違うものは孤独の中で生きているんです…
だから妖弧は他人の温もりを求める…」
「「………」」
「すいません…
暗くなってまいましたね
妖弧はそんなわけで温もりを求めるんですが…
お二人は人間になった妖弧の代償がなんなのか知ってますか?」
「…命と記憶…」
「違います
確かに人間になった妖弧はある一定の時間が過ぎると死にますが別に代償のせいで死ぬわけではないんです
と言うよりも妖弧は代償をなしでも人間になる事は可能です
つまり、代償なんか存在しないんです」
「…じゃあなんで消えるんだ?」
「人間もそうですが一度刻まれたトラウマは簡単に消えるものではない…
妖弧達みたいに生まれてからずっとその事に脅えながら生きていたものは特に…
だから妖弧は人間になる時、自ら代償をつけるんです…
限りある命とその人に関する記憶以外の封印と言う代償を…」
「…なんでそんな事をするんだ…
記憶の封印はわからんでもないが…
なんで限りある命なんかに…っ!!」
「…そうです…
なんで限りある命になる必要があるんですか!!?
………私はずっと一緒に居たかったのに…」
「…私はわかりますよ…
なんで妖弧が限りある命を望むのかが…」
「…なんでなんですか?」
「…なんでだ?」
「それは守護者としての………
これは私が答える事ではないですね…
ご自分で考えて下さい
貴方達ならわかるはずですから」
「「………」」
「じゃあ、そろそろ私は帰り「ちょっと待って下さい」…なんですか?」
「なんで美季と真琴は今此処にいるのですか?」
「それを言うのを忘れてましたね
…昔は狐達にとって妖弧がどうのような存在だったかわかりますか?」
「…わかりません」
「昔は狐達にとって…
違いますね…
ものみの丘に住む、全ての動物にとって妖弧はとても大切な守り神だったんです」
「…守り神…」
「ものみの丘には今も微弱ですが結界が張ってあります
今では人間でも簡単に入れますが、嘗ては人間や何か悪意を持つものは決して入る事が出来ない森だったんです
その結界を張っていたのが妖弧なんですよ
今では動物達も人間が来ないのが当たり前だと思い込んでしまっていますけどね」
「そうなんですか…」
「…なんで雫音はそんなに詳しいんだ?
まるでそれをずっと見てきたように…
それになんで妖弧をそんなに特別に思うんだ?」
「………
私も妖弧と同じなんですよ…
生きたモノの記憶を読む"力"をもって生まれたから…
ずっと一人だった…
どんなに他人に優しくしても…
どんなに他人を守っても…
どんなに他人をこの"力"で助けても…
この"力"を知ったら皆私から離れていった…
子供の頃は"力"をコントロールできませんでしたから…」
「「………」」
「そして家族に捨てられて…
妖弧に助けられた…
だから私にとって妖弧は特別な存在でもあり、家族でもあるんですよ」
「…ごめん」
「………」
「なんで謝るんですか?」
「辛い事を思い出さしたから…」
「気にしないで良いですよ
今ではどうでも良い事ですし…
私には妖弧達が一緒にいますからね
それに今も結構嬉しいんですよ
だってこの話をしたのにお二人は私を見る目が変わってませんから…
激しく話が逸れましたね
え〜と、美季さんと真琴さんが何で今此処に居るか?でしたよね?」
「ええ」
「はっきり言ってわかりません」
「「………え?」」
「っと言うのは冗談です
本当は…
説明が難しくて…
まぁ奇跡と思ってもらって結構だと思いますよ
詳しく知った所でなんの意味もありませんから」
「奇跡…か…そうですね
私にとっては奇跡ですから、それで納得しておきます」
「そうだな」
「でわ、これで」
「今度は妖弧達も連れて遊びに来て下さいね」
「えっ?」
「私達はもう友達ですから」
「そうだな」
「……ありがとう…
でわ、また今度遊びに来ますね」
「はい
楽しみに待ってますよ」
「またな」
「あっ!!ちょっと待って下さい!!」
「?…なんですか?」
「…ヒソヒソヒソ(雫音さんは編み物できますか?)…」
「?…出来ますよ」
「…ヒソヒソヒソ(じゃあ今度教えてくれませんか?)…」
「……そういう事ですか…
わかりました」
「俺は邪魔者か?」
「相沢さんだから話せないんですよ」
「なっなにを言うんですか!!?」
「ふふふ…
あっ…あそこの電線にカツラが引っ掛かっててその近くの電柱をハゲてるおじさんがよじ登ってる!!」
そう言って雫音がそこを指差す
「「………」」
二人がそんな事あるわけないと思いながら見るとそこには確かに電線にカツラが引っ掛かっており、その近くの電柱をハゲたおじさんがよじ登っている
「「………」」
二人がそのまま見ているとおじさんが電柱を登りきり、カツラに手を伸ばした
「…感電してますね…」
「…それでも掴んだカツラを放さない辺り、凄い執念だな…」
二人が感電しているおじさんを見ている
「…落ちましたね…」
「…そうだな…」
だがそのおじさんは顔面から地面に激突したのに平然と歩いてその場を去って行った
「…今のは見なかった事にしませんか?…」
「…なんで電線にカツラが引っ掛かったかが激しく気になるが…見なかった事にしよう…」
そして二人が雫音のいた所を見るともう雫音の姿はそこにはなかった
「……もう寝ましょう」
美汐は美季を抱くようにして深い眠りに入って行った
「相沢さん、雫音さん、クリスマスプレゼントです
大事に使って下さいね」
あとがき
作者「雫音の話し方がおかしいですが人と話す事が少ないからって事で納得しといて下さい」
作者「あと、最後の所も各自勝手に納得して下さい」
作者「taiさん、このSSの内容を大幅カットした事を御わびします m(_ _)m」
作者「あと、最後の方のカツラおじさんは俺が体力の限界に陥り現れた幻覚ですので見なかった事にしてください」
作者「でわ〜」
作者「頭痛いし…見直ししてません…すまん」