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<相ちゃん伝説 カノンの城>クリスマス外伝
『聖夜の贈り物:泥棒から愛をこめて 』
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俺の名は相沢祐一、通り名は「ルパン4世」、世界をまたにかける泥棒なんだが、この稼業をしているとためには人のお役に立ちたいと思う時もしばしばある。
通り名・次元大介こと北川潤と、通り名・石川五右衛門こと川澄舞とコンビを組んでは、お宝探しとばかりに今日は東、明日は西と駆け回る……それが俺様の生き様ってもんだ。
もっとも、通り名・不二子こと倉田佐祐理ちゃんに、お宝をかっさらわれることしばしば、でも、その魅力の前には俺もあたふたしちゃうわけさ。
だけど、美坂の姉御にはちょっくら悪いことしちまったな。
勘弁してくれよ、美坂の姉御。
なんせ、この前、ちょっくら派手なものを盗んでしまって、美坂の姉御、流刑だっていうから、迷惑かけちまったわけで。
まぁ〜、女の魅力を磨くには格好の場所に飛ばされたっていうから、俺様も当分は安泰というわけだ。
なにせ、今、姉御に捕まったら、姉御の家の掃除はやらされるは妹のモデルにされるはと、さんざんこき使われる有様……本当に姉御は警部かいな、私情丸出しだよ。
そのあげくに、
(今回は「祐一さん、必ずまた会えますね?」とは言いませんよ)
かく言う美少女の前に連行されるときたもんだ…無理矢理ね。
カノン公国の王妃・天野美汐にはちょっとしたことがあって無理矢理俺は彼女の夫にされたというわけで、自由を愛する俺には刑務所よりも窮屈な〜わけで。
だけどな、俺様も美汐が嫌いというわけではないんだ。
『----カノン公国・王家 謎の組織から脅迫をうける----
○月×日 公国を爆破するという予告状が王城に届けられた』
なんて記事が新聞にでかでかと載ってしまってはな、俺様も無視はできんさ。
今回、カノン公国で起きたことで、またもや美汐がピンチになる……俺様を呼ぶ彼女の声が聞こえた気がしたってわけだ。
……○×年12月
「はぁ〜、なんて侘びしいのよ〜! クリスマスも近いというのに……」
インスタントのカップヌードルをすすりながら、美坂香里巡査は嘆いていた。
彼氏なし、抜群の美顔とプロポーションを誇る彼女は、目の前にあるカップヌードルのラベルを眺めながら溜息をついた。
これでも、一昔前はインターポールで名を馳せた名警部であったが、シスプリ王国の王家の秘宝の警備でまんまとルパンに出し抜かれ、処罰をくらったのだ。
インターポールの名警部から田舎の巡査に格下げされ、今日のお仕事は野良仕事をするおばあさんと井戸端会議といった有様だった。
人がいないこの田舎、休暇などもっての他……クリスマスのある今月も休みなしの様であった。
「これも、それも、全部ルパンのせいよ〜!
覚えてなさい、今度捕まえたら、たっぷりお仕置きしてあげるから〜!」
抜群のプロポーションとて見る人がじいさん、ばあさんだけでは彼氏など出来ようもない、当然、今回のクリスマスは彼氏なし+派出所勤務である。
彼女を恋慕する忠実な部下からは、時々花束が贈られるが、美坂巡査には慰めにしかならなかった。
美坂巡査の怒りにも似た声を遮るように、突然派出所の電話が鳴った。
美坂巡査は渋々電話をとった。
彼女の流刑にも似た様をあざ笑うインターポールの同僚達が、セクハラ電話を度々するので、美坂巡査はあまり電話を取りたがらないが、職務上仕方なく受話器を取った。
「……はい、網走派出所です」
「お〜、美坂巡査かね? インターポールの祖谷警部だが……」
「……何の用ですか?」
「まあ、それも悪くはないんだが、田舎での勤務はどうかね?
たまには婦警姿も悪くなかろう?」
「私への皮肉なら切りますよ?」
「まぁ、待て。今回は朗報だよ。君にチャンスをあげようと思ってね。君が私の愛人になるなら……」
美坂巡査はとっさに電話を切った。
またか……と思った時、再び電話が鳴った。
「冗談だよ。真面目に話を聞いてくれるかい?」
「……今度だけですよ?」
「わかった……そのな、ある事件で、君に一度インターポールに戻って貰おうと思う。
後は君の活躍次第では、元の職に戻ってもらうことになる、どうかね?」
「本当ですか、祖谷警部?」
「本当は君に愛人になってもらいたいところだが……君の実力も認めないわけにはいくまい?
とにかく、あとは結果次第だ。
それで、迎えをやったから、あとの詳しいことはそいつから聞いてくれたまえ」
「あ、ありがとうございます!」
美坂巡査は喜びながら、電話を切った。
インターポールに戻れる……それだけでも十分幸せだが、これでまたルパン逮捕の日々に戻れるかもしれない、それが美坂巡査を驚喜させた。
「インターポールから参りました銭無といいます。お迎えに上がりました、美坂警部!」
「えっ、”美坂警部”って」
「はい、今回の事件では、暫定的に警部に戻っていただくとのことです。
仕事体勢も以前と変わりません。
ですから、美坂警部ですが……なにかまずいことでも?」
「あぁ〜、……美坂警部……なんて嬉しい響きかしら……ねぇ〜、もう一度言って!」
「と、とにかく、参りましょう、”美坂警部”。時間がありません」
「は、はい。……あぁ〜、なんて甘美な響きでしょう」
美坂巡査は思わず敬礼をしてしまった。
それは巡査の癖ともいえたが、婦警の制服姿の美坂はこれでしばらく見納めである。
「インターポールより参りました警部の美坂です」
美坂警部は目の前にいる高貴で麗しき女性の前で敬礼をした
「まぁ〜、そう固くならないで下さい。お久しぶりですね、美坂警部」
「有り難きお言葉感謝します、王妃!」
「二人の仲ではありませんか……美汐でいいですよ」
「いえいえ、そんな恐れ多いこと……今回は私を名指しで指名していただき、心から感謝に堪えません」
「ごめんなさいね、美坂警部。もっと早く気が付いていれば巡査などにはさせなかったのに
……とにかく、今回の事件で美坂警部の手柄を立てて頂ければ後は私が根回ししますから。それと、水くさいです、美汐でいいですよ、美坂警部」
「ありがとうございます……では、美汐王妃と呼ばせて頂きます」
「それで結構です。では、本題に入ります……脅迫事件のことは聞いてますね?」
「カノン公国を爆撃するという予告ですね?」
「ええ。でも、こういう時に国王が不在では何かと不便でして……もう、お願いは分かりますね?」
「ルパンこと相沢祐一を引っ捕らえてここに連れてこい、ということですね?」
「はい。一応、祐一は私の夫で国王なのです。それがこんな時に不在では困ります。
無論、表向きは爆破予告の対応ということにしてください。
こちらも解決できれば、なお良いのですが」
「では、いつものように……さっそくルパン逮捕に向かいます」
「どこにいるか分かるんですか?」
「はい、察しは付きます。この美坂にお任せください」
美坂は後を振り向き様、ロープ付きの投げ手錠を入り口の方に投げた。
その手錠は、今さっき美坂警部を案内した男の手にはまった。
「ルパン……そんな変装で、この私の目をごまかせると思ってるの?」
「さーすが、美坂の姉御、目のいいことで……」
左手でばりっと変装マスクを取ったルパンこと祐一が現れた。
「やっぱりね、甘いわよ、ルパン!」
「祐一!」
その様子を見ていた美汐は、驚きの表情を浮かべた。
「美汐、美坂の姉御、久しぶり〜♪ 元気だったかい?」
「あなたったら、もう〜、一体どこに行っていたのよ。……とにかく、よかったわ」
「美汐、爆破の予告のことなら、もう相手は目星がついているぜ。
……知っているだろ、久瀬男爵のこと?」
「久瀬男爵、……確か、刑務所から脱走していたわね」
「ご名答、さすがは美坂の姉御、話が早い。
でだな、その男爵が今度はある闇組織と手を結んだってわけだ。
カノン王家を滅ぼして王家を継いだ後はその組織と手を結ぶって条件でだ。
本当にしつこい男だよ、久瀬って奴は」
「王家を滅ぼすですって!」
美汐の顔が青ざめた。
祐一は笑いながら、話を続けた。
「まぁ、心配するなって、なんとかしてやるよ。
でだ、美坂の姉御にはちょっと働いて貰おうと思って、ここに来たんだよ」
「なるほどね……で、ルパン、今度は俺に何の話を持ちかけるのよ?」
「なーに、ちょっと連中のアパッチ・ヘリをかっぱらうから、それを見逃してくれというわけ。
闇組織の手口の裏をかいてやろうと思ってね」
「まあ、いいわ。見返りは?」
「連中の悪事を暴けば、晴れてインターポールに戻れるだろう、美坂の姉御?」
「随分、私に優しいのね?」
「美坂の姉御の制服姿も悪くはないが、ライバルがいないと張り合いが無くてね」
祐一は1枚の写真を美坂の姉御に渡した……それは婦警の制服姿の美坂警部だった。
「ちょ、ちょっと、ルパン、これは何よ?」
「その写真、プレミアが付きそうだな、美坂の姉御?」
「……馬鹿! でも、ちょっと嬉しいかな、ルパンが私をそんなに気遣ってくれるなんて」
「なーに、美坂の姉御のプロポーションも魅力的なんでね」
「ゆ・う・い・ち〜! 私の目の前で浮気するんですか〜!」
「や、やべ……それじゃ、美坂の姉御、あとはよろしくな〜!
そんな手錠じゃ、美坂の姉御の名がなくぞ〜。
ばい・ばい〜!」
祐一は手錠をはずし、それを柱にくくりつけて、その場を去っていった。
一瞬の隙をついて、美坂の投げたもう一つの必殺アイテムがルパンを捉えていたにもかかわらず。
「まったく……ルパンったら……すいません、美汐王妃。
……まあ、数時間後には再会することになりますけど。
私から逃げられるとおもっているんですから、まだまだ甘いですね」
「致し方ないですね、あの人はいつもこうなんですから。
本当に、型にはめられるのを嫌うんですよね。
でも、あんな男でも私の夫ですから、よろしくお願いしますね、警部」
「今度は首に輪っかをかけて、しょっ引き連れてきます」
「はい、よろしく♪」
美坂警部は謁見の間から出て、城から離れようとした。
空を仰ぐように上を振り向いて、透る声で言った。
「さあ、出てらっしゃい、ルパン! そこにいるのは分かっているのよ」
「ああ、降参……降参するよ、美坂警部」
細めの首輪のはまった祐一が美坂警部の前に姿を見せた。
「その首輪は内側に斬鉄剣でも斬れないこんにゃく加工をして、加えて、遠隔リモコンで爆発可能な仕掛けがされているわ」
「栞の作品か?」
「ええ。この前、斬鉄剣に斬られたのが相当頭にきていたらしいわ」
「で、俺はどうなるんだい?」
「ま、ちょっと付き合ってもらおうかしら。いいわよね?
私を巡査にしてくれた報い、ちゃんと受けて頂くわ。
安心して、ルパン。インターポールより楽しいところだから」
「俺はそっちの方がよっぽど嫌だけどな……」
ルパンこと祐一は、大人しく美坂警部のなすがままにされた。
部屋の掃除はさせられるは、風呂上がりのマッサージはさせられるは、栞の絵のモデルをやらされるは……美坂警部の奴隷同然、いうがままというやつだ。
「栞……俺、なんで、こんな事してるんだ?」
「開発に協力してもらった鈴凛さんに頼まれて、男性の運動データを取っているのです。
ルパンほどの運動神経だといいサンプルなんだそうです」
「えへへ♪ メカアニキのデータ取り、よろしくね♪」
「こいつら、お、俺の人格をなんだと思ってやがる〜」
栞の話によれば、アニキ大好きを自称する女開発者・鈴凛が首輪作りに手を貸していたらしい。
走る・泳ぐ・食べる・転ぶ、祐一はそんなデータ取りに1日つきあわされた。
「お疲れさま、ルパン……いいえ、祐一?」
「な〜、美坂の姉御、俺、こんなことしている場合じゃないんだけど?」
「分かっているわよ。罰は今晩で勘弁してあげるわ」
「じゃ、この首輪、はずしてくれるか?」
「いいけど……その首輪ね、とっておきの認証がないとはずせないの。
だから、鍵穴もないでしょ?」
「ああ、そうだな。で、その認証って?」
「……私の唇、すなわち、キスってことね」
「ちょ、ちょっと、それってどういうことだ?」
「だから、祐一が一晩付き合って私を満足させてくれたら……はずしてあげるわ♪
素直にいうこと聞かなければ、延長ね」
「……分かった」
「まったく、ひどい目に遭ったぜ」
「だから、女にはあれほど気を付けろといっただろう、ルパン?
で、爆破予告の件、どうするんだ? 組織のことはもう調べはついたぞ?」
「この恨み、組織にはらさんでかって〜の。なーに、いい案思いだしてな。
(ぼそぼそ)」
「まったく冗談が好きだな、ルパンは」
「たまには泥棒が夢ある子供にプレゼントをあげてもいいだろ?」
「ま、いいけどな。それじゃ、早速実行に移すとするか」
「きゃっ!」
「だーれだ?」
「も〜、こんなところでこんなことするのはルパン以外に誰がいるのよ?」
「さーっすが佐祐理ちゃん……で、こんなところで何をしている?」
「開発がほぼ終わった次期戦闘機の設計図をいただくのよ。東側の国に高く売れるから」
「まったく相変わらず金に目がないんだからな、佐祐理ちゃんは」
「そんなことより、ルパンこそ、何しているのよ。そんな袋なんか抱えちゃって」
「いや〜、ちょっとばかり細工をしようとおもってだな」
「いいけど、私の邪魔はしないでよ?」
「ああ」
セキュリティの厳しい(はず?)とある組織の施設で自分の部屋にいるような会話をする二人であったが、警備員は皆お眠りしているので、気づかれない。
「美坂警部! 総員、配置に付きました」
「ご苦労。久しぶりだが、皆には苦労かけたわね」
「いいえ、美坂警部が戻られたとのこと、皆、気合い十分で使命に燃えています」
燃えている→萌えている、そんな漢字の訂正をしたくなるほど忠実な美坂警部の部下達を前に、美坂警部は思案にくれた。
「まったく、ルパンの奴、こんなところで私に何をさせるつもりかしら。
爆破予告は今夜なのに……」
『上空より飛行物体・数機、編隊を組んでカノンの国境に迫っています。
凄いスピードで城の方に迫ってきている模様……』
B爆撃機・数機がカノン城めがけて飛来した。
『予告に屈しないとはいい度胸だ。見せしめに城を爆破してくれる。はーははは!』
(久瀬……相変わらずやーな声)
『えー、こちら、ルパン、ただ今、マイクのテスト中!
こらー、久瀬のぼけ、よく聞け〜。
クリスマスの夜に爆撃とは、随分趣味が悪いな……今度こそ、とっちめてくれる』
(ルパン?)
城の後方から、1機のアパッチ・ヘリが飛び立った。
『威勢がいいな、どぶネズミごときが。アパッチごときで何ができる。
くらえ!』
対空機銃がけたたましい音と共に、一斉にアパッチに向けられて発車された。
こつん・こつん・こつん・こつん・こつん・こつん・こつん…………
『こつん?』
『ばーか! 鳩が豆鉄砲とばしているんじゃないよ。玉はアメだってーの』
『くそ! なら、爆撃開始!』
久瀬の声に応じるかのように、爆撃機から雨のような大量の爆弾が投下された。
『ほんじゃーまー、こっちから行かせてもらうぞ、ぼけ男爵!』
キラーン!
「きえーーーーーーーい!」
スパ・スパ・スパ・スパ・スパ・スパ
ヘリから一人の少女が飛び出し、爆撃機の機体を切り裂いた。
少女が機体を蹴飛ばすと、機体は数個のブロックに斬られた。
少女は機体を蹴った反動でヘリに戻った。
「またつまらぬものを斬ってしまったわ………」
「さーすが、五右衛門! さーてと、美汐のもとにいくとするかな」
(ルパン?)
投下された爆弾がパラシュートを開いて、ゆっくり聖夜の大空を待っていた。
爆弾の囲いがとれて分散し、仲から更に小さなものがパラシュートを開いて降りてきた。
その1つが、城の屋上付近にいた美坂警部の手元に落ちた。
それを見た美坂警部は思わず、大きく苦笑した。
(クリスマス・シューズ? お菓子の詰め合わせ?
何々……
「カノン王家から子供達に愛のプレゼントだよ。
メリー・クリスマス♪
ルパン4世」
……ルパンらしいわ)
「よう、美汐。来たぜ?」
「祐一?」
城のテラスで美汐が外の様子を見ていた。
城のテラスにヘリを寄せたルパンこと祐一は、ヘリから美汐のいるテラスに飛び移った。
「『空からお菓子が降ってきたら楽しいですね』……約束、果たしたぜ?」
「もう、あなたったら♪ そんな子供の時の冗談をまにうけるなんて……」
「まあ、泥棒からカノンの子供達に愛のプレゼントってのもいいだろう?」
「ふふふ……ふふふ……ふふふ、も〜、びっくりさせないでよ。……(うっ)……」
祐一は美汐を抱きしめて、そっとその口に口づけした。
「美汐の笑顔…可愛いよ。……さて、これからは二人で過ごすとしよう?」
「はい、あなた♪
でも、私にも……私だけへのとっておきのプレゼント、下さいね?」
【ルパンこと祐一】
快眠・快眠……お〜、なんていい朝日なんだ!
なんていうか、こう、身が洗われるみたいだ。
俺はテラスに身を乗り出しながら、昇りきった朝日を見つめた。
(悪いな、美汐。昨晩は楽しかったよ。……さーてと、出かけるか)
その瞬間、俺は首に違和感を感じた。
げっ……例の首輪……ということは……
「うふふ……ルパン、相変わらず甘いわね。その首輪……意味、分かるよね?」
「げっ、美坂の姉御!?」
「さあ、早く降りてらっしゃい、ルパン。ちょっと付き合って貰うわよ?
逃げられないのは、分かっているわね?」
「う、うぅぅ〜」
「うーん……あ、あなた?」
「美汐…助けてくれよ。これじゃ、また美坂警部のいいなりだよ」
「ごめんなさい、あなた……」
「へっ?」
「あなたを捕まえる条件として、今日は1日、あなたを自由にしていいって、美坂警部と約束したの。ごめんなさい……」
「ちょっと……何だよ、それ?」
「今日は美坂警部で、その後ね……年末年始はね……また私と一緒に過ごしてもらうの。
あなた、ダメかな?」
「ダメって……言えるのかよ、この状況で……」
「ルパン、早くでてらっしゃい♪」
【少し離れた場所】
「まったく付き合ってらんないな……だから、女には気をつけろといったのに。
もう、勝手にしてくれ」
「………祐一の…馬鹿…」
ルパンを待っていた次元(潤)は、双眼鏡から目を離すと、五右衛門(舞)を乗せたフィアットのエンジンを入れて、颯爽と立ち去っていった。
Fin.