今、ここで君が笑うから

18.フルスピード



















栞との和解…お友達からのスタートとなった日から2週間が過ぎ、週末となった。

土曜日の夜に美坂家に一本の電話が鳴り響いた。

「はい、美坂です」

栞が電話に出る。相手はすぐに名乗った。

『あ、栞ちゃん?ボク。あゆだよ』

「あゆさんですか」

相手はあゆだった。栞にとっては若干気まずい相手ではあるが、あゆはそんなことを気にした素振も見せない。傍若無人なのか、敢えて触れないのか。

どちらかと問われれば、栞は後者であると答える。子供のように見えてもあゆは周りが見えている。それを知っているからこそ、栞は迷いなく答えられるのだが、よくセットでお子様扱いされる身としては複雑なものだ。自分はそれを不服に思っている。あゆは不服に思いながらも軽く受け流している。そういうところに余裕が見られるのだ。

『うん。ねぇ、明日…予定、あるかな?』

「予定、ですか?ありませんけど…」

遊びに行く話だろうか。それとも、名雪を呼び出すのか。何をするのだろうか。

栞は知らず、緊張していた。受話器を握る手に力が入る。

『良かった。実はね、真琴ちゃんと美汐ちゃんとで祐一くんの家に遊びに行く予定でね。栞ちゃんも誘おうって話になって』

話になって、とは言うものの、実質言い出したのはあゆである。名雪と話をする前に出来るだけ祐一との間のしこりを除いておきたかったのだ。

味方は、1人でも多いほうがいい。少なくとも、この状況では。

「私…ですか」

栞はあまり気乗りしなかった。敵意を向けた子供に会いに行くようなものだ。それは、怖い。

相手の反応を知るのが。拒絶を向けられることが。

「できれば…ちょっと」

遠慮したい。それが栞の正直な気持ちだった。

『…栞ちゃん。今更逃げるの?』

「逃げるだなんて…!」

あゆの言葉に栞は知らず声を上げていた。気付いたときにはもう遅かった。

『じゃあ、来るんだね?』

声を上げてしまった以上、もうどうしようもない。

「……はい」

嵌められた。そう思いながらも、栞は実際に行ったときに何をすればいいのかわからなくなってしまった。謝ればいいのか?だが、それは既に祐一が許している。

何より、昔ほど純粋になりきれない。黒くなってしまった心で子供の前に立てるのだろうか。そんな不安に苛まれ始めていた。

『栞ちゃん。1人じゃないからね』

「はい」

1人じゃないという言葉は心強い。だが、心情が違う。自分には後ろ暗いものがある。誰一人にも誇れないことがある。

あんな小さな子供相手に敵意を向けてしまった。それが違う。始まりが悪かった。そうでなければまだ救いもあっただろうに。

『栞ちゃん。祐一くんがどうして栞ちゃんと友達としてやり直そうとしたのか。それを勘違いしないでね』

あゆはその言葉を最後に「またね」と言い残して電話を切った。最後の決断は、栞個人に委ねられている。

あゆにとって、栞を無理矢理にでも連れて行くのは容易いことだった。断れない理由を作り出せばいい。だが、そうはしなかった。栞は「はい」と答えてはいたが、戸惑いがあった。それを感じて、あゆは待ち合わせの時間、場所を教えなかった。そうすることで栞が本当に考え、結論を出し、自発的に行動するように仕向けようとしているのだ。

栞は当然ではあるが、悩んだ。

イエスの回答をしてしまった以上、断るのはよくないだろう。しかし、このままで祐一や桔梗、茉莉に会えるのかと問われればノーとしか答えられない。

「栞。少しいいかしら?」

悩んでいる最中、香里がその肩を叩いた。

「え…?」

「悩みすぎよ。少し、落ち着きましょう」

言って、香里は栞の手を引いてキッチンへ向かった。

「インスタントだけど、これでも飲みなさい」

香里が差し出したのはホットココアだった。これも実はあゆの差し金である。栞が悩むことぐらい容易に想像していたあゆが事前に香里に連絡をして、悩んでいる場合には手を貸してほしいと頼んでいたのである。

栞が気付いていないところで、確実に外堀は埋められていたのだ。

「…私、祐一さんと友達になる資格なんてあるんでしょうか」

一口、ココアを口に含んでから栞は口を開いた。

それは、先日の祐一のやり直し宣言からずっと抱えてきた悩みだった。自分の想いが祐一を縛っていたのではないか。そんな考えさえ浮かんできてしまう。いや、それは事実だった。だが、祐一はそれさえも無かったことにしようと言っているのだ。そして、友達としてやり直そうと提案した。

表面上は受け入れはしたものの、まだ納得はいかない。こんな自分が、やり直せるのだろうか、と。自発的に動くことの出来たあゆや舞とは条件が違うし、割り切れもしない。

「友達になるのに資格が要るんなら、あたしはきっと誰とも友達にはならなかったわ」

「どうして…?」

香里の言葉に栞は疑問を隠せなかった。

親友である名雪。その関係に資格が必要なら友人という関係すら成立しなかった。香里はそう言っているのだ。それは、勿論ではあるが祐一や潤、などといったかつてのクラスメイトに、美汐たちのような後輩、舞や佐祐理といった先輩ですら友人としては成立しないことも意味する。

「ただその人と過ごしたい。それだけなのに資格なんて要らないのよ。打算で成り立つ交友関係なら、願い下げ。お慰みってやつかしらね。あたしは名雪と親友でいることに利益を求めてるわけじゃないわ。この人と一緒にいると楽しいとか、悩みも打ち明けられるとか…そういう、当たり前を一緒に過ごせることに感謝したいの。打算はほしくないの。

 勿論、将来、打算で成り立つ人間関係の中に身を置かなくちゃいけないのはわかってる。でもね…それでも、こういう打算も何もない友人はずっと、大切にしたいの。栞だって、今の友達に打算なんて求めてないでしょ?」

「…はい」

栞は頷く。

「それでいいのよ。相沢君も打算は求めてないはず。少なくとも、自分と友達になることに関してはね」

「?」

香里の言葉に栞は首を傾げるしかなかった。姉の言いたいことがわからない。祐一が打算を求めていたとしても、それは何に対してなのだろうか。

「お姉ちゃん。それ、どういう…」

「相沢君に会ってきたらわかるわ。今、相沢君が友達を必要とする理由はすぐにわかると思うわよ」

香里はそれ以上は何も言わなかった。

そして、栞の心は決まった。自分が祐一に何を求めるのか、逆に祐一が自分に何を求めるのか。それを知るために。

「明日、祐一さんの家に遊びに行って来ます」

「行ってきなさい」

























待ち合わせは、美坂家だった。

「ありがとう。来てくれて」

あゆは一言目にそう言った。

「いえ…私も、知りたいことがあるんです」

それに対し、栞は硬い表情で答えた。それを後ろで見ていた真琴は自然と腹が立ってきてしまった。

これから会いに行くのは祐一1人ではない。祐一とその家族なのだ。それを思うと、真琴は自然と行動に移していた。

「ていっ」

栞の後ろから手を回し、その小ぶりな胸を鷲掴みにしていた。

「な、何するんですか!!」

栞の絶叫が響き渡ると真琴は手を離した。

「さっきみたいな顔で行くんならNG。今みたいに、自然なままで行かなきゃ駄目じゃない」

その為にとった行動はあまりほめられたものではないが。ただのエロ親父でしかない。

「……」

前屈みになって顔を赤くしながら真琴を睨む栞。真琴はその視線を気にすることなく堂々と胸を張った。

すぐに栞が溜息と共に俯くことになった。

「わかりましたよ…あまり深く考えないことにします」

渋々という形ではあったが、栞は納得することにした。

真琴が何を言いたいのかぐらいは理解できる。それさえも理解できないほど視野狭窄ではない。少なくとも、今は。

「それでいいのよ」

ふふん、と鼻で笑う真琴に腹が立たないわけではないが、まだ冗談で済む。あのときのように…真琴が自分達の輪から抜け出したときほどじゃない。

あれは…今ならば許せるかもしれないが、あの行動を理解できない頃はただ真琴を憎く思っていた。2度と友人には戻れないとすら思っていた。裏切った彼女と口も利きたくなかった。

しかし、今ならば真琴の行動の真意もある程度はわかる。自分の中の感情の正体と祐一が実は全員の感情に気付いていて、それを気付かない振りをして自分達の関係を守ろうとしていたこと。真琴はそれに気付いた。そして、その破綻を試みた。悪戯に引き伸ばすことで崩壊しか生まれないことに気付いたから。

事実、栞と祐一の関係は崩壊寸前まで拗れていたといっても過言ではない。今後、名雪との関係が崩壊しないとは言い切れない。それほどまでに危うい均衡の上に成り立っていたのだ。特に、真琴がいなくなってから。

真琴の行動は崩壊を早めることになったが、それによってまだ後戻りの出来るところであゆと舞は踏みとどまることが出来た。逆に、その意図に気付けなかった栞は少しばかり後悔することになってしまったが。

今、こうして祐一とその家族に会うことに抵抗を感じてしまうくらい。

(…考えないようにしないと)

考えれば考えるほど後ろ向きになってしまう。考えない。栞は自分にそう言い聞かせた。

まだ、真琴は桔梗と話をしたことがない。その意味では自分達は同じスタートなんだ。そう思いながら栞は美汐に視線を向けた。

この中で桔梗と一番会っているのは彼女だ。彼女に何かを訊けば桔梗のことを少しは知ることが出来るかもしれない。

「天野さんは祐一さんの子供のこと、何か知ってるんですか?」

「私が話すべきことではないです」

美汐は何も答えなかった。彼女の中では、栞の問いに答える資格は存在しないのだ。簡単に話は聞いた。だが、それを人に言いふらしていいわけがない。

「これは相沢さんが話します」

もう何も話すことはない。そう言わんばかりの態度で美汐は言葉を切った。

栞はあゆにも視線を向けるが、あゆも同様に首を横に振るだけだった。

自分達は桔梗のことを話せない。祐一に桔梗という義理の娘がいるということは信頼のおける人物には話せる。しかし、その事情全てを話すことは出来ない。何より、自分達ですら全てを伝えられていないのだから。

全てを伝えるときが来るのなら祐一が自分で話すだろう。

「祐一さんに訊きます」

仕方がないので栞はそれだけ言うと口を噤んだ。何故か、祐一は何も話してはくれないだろうと想像できた。

























その日の相沢家には祐一と桔梗、茉莉がいた。楓は1人、蘭の家に遊びに行っている。

桔梗も遊びに行きたかったが、前々からあゆが来ると言っていたのでそちらを優先することにした。栞を誘うのは唐突だったが、あゆの訪問自体は予め決まっていることだった。

「いらっしゃい」

あゆ達を出迎えたのは茉莉だった。栞を見て一瞬表情が硬くなるが、すぐに元に戻った。

「祐一君も待ってるから、上がって」

「はい」

茉莉が勧めるままにあゆ達は玄関から入る。最後に通過しようとした栞の手首を茉莉が掴む。

「次…ないからね」

一言、栞にしか聞こえないように耳打ちする。

それを聞いた栞は一瞬、驚いた表情になるが、すぐに神妙な顔で頷いた。彼女も、同じことをするつもりはなかった。冷静になれば、あのときの自分はどうかしていたとしか思えない。

「いいわ。行って」

手首を掴んでいた手が離される。服の袖の上からではあったが、掴まれた場所が痛い。袖を捲くって見てみると、掴まれた箇所が赤くなっていた。

「握力、どれくらいあるんですか」

半分厭味でそれを口にする栞。

「さぁ?最近計ってないからね。でも、今でも林檎は潰せるよ」

茉莉は真面目に返した。それを聞いて栞は本気で喧嘩を売らなくて良かったと心の底から思った。こちらが刃物か何かを持ち出したところで彼女には絶対に勝てなかった。それを理解できたから。

それにしても、と思う。

(林檎潰せる女子高生って…)

その辺にいる女の子ではないな、と実感する。

まぁ、茉莉と話をする機会などこれからいくらでも作れるだろう。だが、自分が祐一に話を訊き、桔梗と打ち解けるには今日しかない。もう、他の日ではどうにも出来ないだろう。

それを思い、栞は祐一の待つリビングのドアをゆっくりと開いた。

「よく来てくれたな、栞」

祐一は栞を歓迎した。既にあゆ、美汐、真琴は桔梗と話をしている。とても楽しそうに見えた。そして、自分はあそこには混ざれない。そんな気もしていた。

「まぁ…まずは話でもしようか。何か訊きたい。そんな顔をしてる」

そんなことまでわかるのか、と栞は驚嘆を隠せないでいた。こちらの想いに気付かないのは完全な演技だったのか、と。その演技を見抜けなかった自分達があまりに間抜けに思えた。

「祐一さん。あの子は…どうして祐一さんの子供なんですか」

「どうしてって…俺と、あの子の母親がそれを望んだから。それ以上もそれ以下もないのさ。あの子を前にして俺は受け容れることを選んだ。あの子の母親もそれを望んだ。それ以上は、まだ話せない」

予想通り、自分が望む答えは得られなかった。

栞は質問を変えることにした。

「では、もう1つ」

「いいぞ」

「どうして、あんなことした私とまでもう一度、今度は友達としてやり直そうなんて言ったんですか」

それを聞いた祐一は呆れた顔を見せた。

「お前馬鹿か。俺が、どうしてあの関係を気付かない振りしてまで続けようとしたかって…俺はお前らと友達でいたかったんだよ。手放したくなかったんだよ。

 求めるものが違ってるってわかってても、それでも俺は手放せなかったんだよ。失くしたくなかったんだ」

この感情は、嘗て祐一が『あゆ』を失ったことに由来する。『あゆ』を喪失したからこそ、祐一は手に入れたものは繋ぎとめようとする。だからこそ、祐一の人間関係は深く狭い。本当に失えないものだけしか彼は持っていないのだから。

「自分勝手です」

「そうだな。全部、俺の都合さ。俺のエゴだよ」

そこまで認められては栞は何も言えなかった。もう、何も口出しできない。

もし、まだ何か言うとするなら。

「あの人と、あの子…紹介してください」

「そうだな…茉莉」

祐一はキッチンでお茶を入れていた茉莉を呼び寄せる。

「自己紹介、頼む」

「うん」

茉莉は頷くと、栞の前に立った。

「茉莉・アップスター。祐一君とは婚約予定で、今も半同居状態…かな」

「不潔です」

栞の回答は自己紹介ではなく、嫌悪だった。

「そんなこと言われても…うち、両親共に家にいること少ないし、年の離れた妹もいてこんな風に誰かと一緒にいたいの。これは、私の両親の意向でもあるの。そのことにけちをつけられる筋合いはないと思うけど」

茉莉の半同居はそういう事情もありきではある。何より、楓や桔梗が同じ家の中にいる以上、栞の考えるようなことにはならない。桔梗だけならば違ったかもしれないが、楓は何かしら変化には敏感で、体の関係を持てば間違いなく気付く。まだその行為を知らなくても変化には気付くだろう。それで余所余所しくなっても困る。

せめて、学校を出てきちんと籍を入れてからの話だ。それは祐一と茉莉で話し合って出した結論でもある。

これから先、祐一たちは進学、就職と、やるべきことはいくらでもある。茉莉との関係、桔梗との関係、楓との関係がその過程で気まずくなってしまうのは本意ではないのだから。

「どうして…あなただったんですか」

「それはわからないよ。私も、栞ちゃんも。皆、色々と考えてた。そうしたらこうなった。そうとしか、言えない」

栞の言葉に、茉莉はあまり答えられなかった。

自分自身、祐一と今の関係になれたのは偶然と言ってもいいと思っているのだから。もし、楓を小学校に送っていかなかったら…もし、桔梗の帰国が遅れているか、早まっていたなら。それだけで今の関係は成立しなかったかもしれない。

もしかしたら、栞を含めた誰かが桔梗のことにも理解を示した上で告白していたかもしれない。何より。

折原浩平が存在していなければ祐一は留美と交際していたかもしれない。

イフはいくらでも存在する。そのイフの中から茉莉は祐一と歩む未来を掴み取った。それだけのこと。

「……祐一さんを、不幸にしたら許しませんから。あなたには、私達が好きだった祐一さんを不幸にさせない義務があるんですから」

「肝に銘じておくわ」

頷く茉莉を見ながら、栞はどことなく姉に似ていると感じた。これだから、泥棒猫として憎みきれない。大好きな姉に似ているだけで。

負けた。今なら、素直にそう思えた。

























桔梗はやはり人見知りだった。

あゆと美汐は事前の面識があったからあまり酷くはない。もっとも、あゆに関しては美汐に比べれば初対面に等しいものもあるのだが。それでも真琴と比べれば違ったのだろう。

桔梗は真っ先に真琴から逃げた。

「あぅ…」

流石にこれには真琴も落ち込んだ。保育氏として働いている今、子供の扱いには自身があった。保育園児と小学生とでは違うのかもしれないが、それでも落ち込んだ。

「桔梗ちゃん。真琴ちゃんは怖くないから。ね?」

そんな桔梗にあゆは笑いかける。美汐は決して自分には出来ない役割だと思った。子供を安心させられるような笑顔が自分に出来るとは思えなかった。

だが、桔梗が掴んでいるのは美汐の服である。そこで自分が頼りにされていることを、美汐は自覚するべきだった。

「うぅ…」

やはり、怖い。でも、父の友人。悪い人ではないのかもしれない。最近遭う人は、皆いい人ばかりだった。それを思い、桔梗は一歩前に出た。それでも、美汐の服を掴んでいる手は離さないのだが。

「沢渡真琴。真琴でいいわよ」

真琴はしゃがんで桔梗と同じ目線になってから笑顔を浮かべた。上から見ているだけでは何もわからない。見下ろしているだけでは、見下していては何もわからない。知りたければ、すぐ傍で、同じ目線で語り、物を見なければならない。真琴は経験からそれを知っていた。

「き、桔梗…です」

恐る恐るではあったが、桔梗も自己紹介で返した。

もう一押しほしい。

「桔梗ちゃん。真琴ちゃんはね、祐一くんとボクと美汐ちゃんの友達でもあるんだよ。ボクは、桔梗ちゃんと友達だよね?」

「…う、うん」

「だったら、真琴ちゃんとも一緒に話をしよう。ボクも一緒だから。ね」

そこで安心したのか、桔梗は美汐の服から手を離し、真琴に歩み寄った。

「よろしく」

真琴はもう一度笑顔で言った。

それからが早かった。桔梗はすぐに真琴とも打ち解け、栞が来た頃には満面の笑みを浮かべるほどだった。

「凄いですね、真琴さんは」

素直に感心し、いつか、あの中に入れると信じて栞も自己紹介を始めた。

「こんにちは。私は、美坂栞です。栞でいいですよ」

























次回予告

「香里です。

 学校での出来事になるんだけど、漸く名雪が重い腰を上げたわ。

 全く…随分とかかったものね。

 でも……その対応は素直に賞賛するわ。

 いきなり喧嘩腰じゃなくて、普通に話しかけるっていうことはね。

 次回、今、ここで君が笑うから

 19.取り残されて

 名雪の爪の垢でも煎じて栞の飲ませるべきかしら」


















後書き

セナ「はい、栞編一応完結」

茉莉「何だか、あゆちゃんとか真琴ちゃんとかって殆どおまけと化してない?」

セナ「気付けば。まぁ…後々フォローできればいいんだけど、個人的に真琴の扱いが苦手で」

茉莉「それは大変ね」

セナ「でも、この作品も続くなぁ」

茉莉「あとどれくらい書けそう?」

セナ「まぁ…次の名雪編と解決編。それからあゆ編フォロー?で、完結編かな。ラストの構想はずっと前から出来てることだから問題ないしね」

茉莉「そういえば、大体終りを見据えて作ってるのよね?」

セナ「収拾つかなくなるのが嫌で。終わり方と大まかな展開さえ決めておけば苦労はすることないだろうしね。因みに、そういった意味では僕はフルーツバスケットの作者の高屋奈月氏と同じような作品の造り方をしてることになるんだろうか?」

茉莉「一緒にしない」

セナ「すみません」