祐一の愛した星少女
(Kanon:)
第9話 最終話 『これからの物語』 
written by シルビア  2003.10 (Edited 2004.3)



(これで8人すべての物語を読み終えましたね。
 あら……?
 まだ、1ページありますね?)

「愛する我が妻、佐祐理へ……

 俺にとっての8人の星少女の話は以上で終わりだ。

佐祐理は、俺の物語、どう思ったんだい?

佐祐理のことだ、多分嫉妬でもしながら読んでいただろう。
俺はその表情を思い浮かべて少し苦笑いしてるよ。

俺が意地悪好きなのは佐祐理も知っているだろう。
俺はこの手記を、俺の死後に佐祐理の目に止まるようにしたつもりだ。
だが、遺言のつもりで書いたわけではないぞ。

俺は、あとひとつ、佐祐理に伝えたいことがある。

 人を愛することは相手を育むこと、お互いの人生の生きる糧とすることだ。

だから、俺はこの物語を書いた。
いつでも「希望」を失わず、
人の幸せを「願い」ながら、
絶望の中でも「信じる心」を失わず、
弱き自分を知りつつも「勇気」を持って、
ただ「一途」に愛を求め、
「慈愛」の心で相手を包み、
「純粋」なまでの想いをかけて。
「人の温もり」を与えてくれた
---------俺のすべての星少女達に。

 俺が佐祐理の事を好きになり理解できるようになれた背景に、佐祐理の前に
 つきあった7人の少女が俺に教えてくれた事があっただろう。
 
佐祐理、俺がいなくなってからも幸せになってほしい。
それと、息子の和也を頼む。

相沢祐一」

(あなたったら……私なら心配しないでも大丈夫ですよ。
 私、まだしないといけないこと、ありますから。
 でも、それが終わったら……また一緒に……)


春の夜空に浮かぶ、牛飼い座アークチュルス。

「祐一くんに似合いそうな星って、あのオレンジ色の星ではないですか?」

「アークチュルスか」

オレンジ色に輝く牛飼い座のアークチュルスと、青白く輝くおとめ座のスピカの
2つの星を指して、あなたは言いましたね。

 「俺は佐祐理にこんな風に寄り添いたいな。一緒に輝くのも素敵じゃないか?」

まったく、祐一さんはキザです。

「佐祐理、あのな……
 この2つの星は、春の『夫婦星』と呼ばれてるんだ。
 佐祐理、アークチュルスとスピカのように、俺と、これからもすっと一緒に
 生きていかないか?」

「はい」

二人で昔眺めた時のまま、今もアークチュルスとスピカがこの夜空に輝いてます。
こうして眺めると、あの頃のあなたが側にいるみたい。

でも私は……


「母さん、また星を見てるの?」

……あなたと一弥によく似た息子がいますから、まだあなたの側には行けませんね。

「ええ、和也。
 今は私とお父様の思い出の星々、『夫婦星』を見ていたい気分なのよ」






〜『<祐一の愛した星少女』 FIN.〜


後書き

佐祐理:「私だったんですね♪このSS連載の主人公」
作者:「他に誰が居る! 私は佐祐理が一番好きだぞ」
佐祐理:「嬉しいです♪
作者さんについてきてよかったです」
作者:「そのおかげで、7人を出し抜くという偉業を為したわけだが」
佐祐理:「うー、浮気者です、祐一さん」
作者:「元々、『夫婦星』を取り上げたかったわけで、アークチュルスと
スピカの2つの星が、この物語の中心なんだ。
そして、スピカのイメージから佐祐理が栄えある主役になったわけだ。
よって、最初から祐一&佐祐理のペアを描いているが、一応伏線を入れた。
タイトルも『夫婦星』から『祐一の愛した星少女』に置き換えた。
祐一が過去の恋愛を白状した形をとったけどな」
佐祐理:「ふふ。でも、ほかの女の子とどうつき合ってきたかは気になります」
作者:「佐祐理と出会う前の彼の恋については、時効だと思って流してやりなよ。
恋人同士になってからなら、いくらでも浮気だと突っついてもいいから」
佐祐理:「そうします」
作者:「さて……佐祐理、最後に読者にご挨拶しよう」


作者・佐祐理:「最後まで読んで頂いてありがとうございました。
  夜空を眺めて物語を想像する楽しみ、読者の皆さんも是非見つけて
  くださいね。
  そして、是非、これからは貴方だけの物語を作って下さい」

 


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