永遠の愛を証明せよ。   かつび圭尚(MF文庫J)



恋心を人質にとられた、手に汗握る頭脳ゲームラブコメストーリー。
ゲーム中に恋愛が成就すれば「永遠の愛」が魔法の力で約束されるが、成就しない恋は「はじめから」
なかったことに。つまり、恋をする前の関係に戻ってしまう。それが本作品で行われるゲームである
「コクハクカルテット」なわけですが、これはまた中々にエゲつないゲームですね。
命の危険こそないものの、敗北時のペナルティはある意味それまでの自分を殺されるようなものですし
そもそも、勝利報酬にしたところで、それを望んでゲームに参加した人間でなければ…
実際、作中でも主人公とヒロインで考え方が異なりますしね。感情が一番大事だからこそ性質が悪い。
本来なら物語序盤時点でハッピーエンド確定だったところをわざわざ複雑化させているわけですし。
ラストは第二のゲームを円満にクリアし、メインヒロインの凪沙と結ばれてハッピーエンド。

主人公は何度も自分に告白してくれた両片思いの後輩である朱鷺羽凪沙に告白しようとしたら
恋と愛を巡るゲーム「コクハクカルテット」に巻き込まれてしまった高校二年生の少年。
真面目で誠実な性格だが、自分の主義に頑固で融通が利かない。一言でいうなら面倒くさい奴。
持論は「大事なのは結果じゃない、いつだってそれを目指す過程にこそ意味がある」
学校ではちょっとムスッとした感じで、教室の隅で歴史の資料集を読んでいたりと話しかけづらいタイプ。

ヒロインは健気な後輩、物静かな同級生。サブに遊び人な同級生、理知的な元カノ。
一番のお気に入りは「コクハクカルテット」の参加者の一人である高校二年生、青ヶ島悠乃。
群青色と見まごう鮮やかな黒髪ロングヘアの、怖いくらいに完璧な美貌を有する美少女。
いつもほぼ無表情な、ミステリアスとも言うべき物静かな性格だが、その実態は内向的で口下手。
探るように慎重に言葉を紡ぐことが多いが、それは過去、自分のためにいつも何かが歪められて
誰かが犠牲になっていることに気付いたからであり、元々は溌剌として明るい性格だった。
また、その過去ゆえに「ほしいものは、自分の力で手に入れる」という主義を貫くことにしている。

評価はD。
恋愛がテーマになっているゲームだというのに、そこに異能を絡めるという発想が面白かったです。
暴力を使うバトル展開はないですが、異能があるからこその駆け引き(頭脳戦)は見応えがありましたし。
キャラに関しては「この主人公面倒くさすぎる」の一言に尽きるかと。
彼の「永遠の愛より愛し合う過程が大事」という主義自体には共感できるのですが…
そんな彼に恋したばかりに振り回され、苦労するヒロインたちはマジでご愁傷様としか言いようがない。
本筋は形としては綺麗に纏まっており、皆が幸せを掴み取った大団円ではあったと思います。
ただ、それでもやはり天使ウザイ、主人公面倒くさすぎ、といったマイナス感情が先に来るがゆえに
評価を落とさざるをえなかったのが残念。推しの悠乃が選ばれなかったからという私怨も多分にあるのですがw