ラブコメ・イン・ザ・ダーク 鈴木大輔(MF文庫J)
夢と現実の狭間で語られる、新時代の暗黒恋愛譚。
大枠としては、いわゆるセカイ系のラブコメですね。世界の命運を賭けた恋愛物語が描かれています。
世界のお医者さんを自称するヒロイン・天神ユミリの顔見せからのキス&恋人宣言というインパクト。
主人公に課せられた意外なミッション。そして、謎が謎を呼び、歪んでいく世界。
全体に漂う不穏さもあって、正に恋愛暗黒譚と評するに相応しい内容は読みごたえは十分。
ラブコメ面はほぼ一方的な展開でメインヒロインの天神ユミリが恋人となった主人公ですが
肝心の彼女から世界の危機の回避のために四人の少女を口説くように言われてしまい…?
主人公はある日突然「夜ごと見る夢を自由に操る力」を手にした少年。
小市民的で自意識過剰、ビビリ、いつも「世の中はクソだ」と考えているひねくれものな性格で
夢の中では尊大かつ威勢がいいが現実では息をひそめてひっそり生きている、典型的な内弁慶の陰キャ。
色恋にも奥手。ただ、根っこのところでは善人であり、ヒロイックで妙に男気がある。
成績は上から数えたほうが早く、家は裕福、母親は美人で話の分かるキャリア官僚と、スペックは何気に高い。
ヒロインはヒーローな転校生、ヤンキーな幼馴染、生真面目な委員長、陽キャなギャル、引っ込み思案な級友。
二巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。
現時点(二巻)においての評価はC。
良くも悪くもルサンチマン全開過ぎるけど、どこか憎めない小物っぷりを見せる主人公が印象的。
毎夜、自由に操れる夢の世界でムカつく人間を下に扱い、思うがままに振る舞ってストレスを解消。
でも過剰に酷いこと(暴力や性行為はしない)はしませんという絶妙な器の小ささが実にみみっちい。
作中でヒロインに指摘されている通り、陰キャとしてはぬるすぎるがゆえに見ていていたたまれない…
まあ、それでも彼なりのプライドや男気も見せてくれはするので嫌いにはなれないのですが。
恋愛対象として考えるなら、流石に見る目ないなーヒロインたち、と思わないでもないんですけどねw
本筋は四人の攻略対象のうちの二人目の攻略を完了し、一見すると順調に見える主人公ですが
課題は未だ山積み、それどころか事態はいっそうややこしいことになってきて…?