キミの恋人オーディション   あさのハジメ(MF文庫J)



芸能学校で繰り広げられる、恋×嘘の演劇ラブコメストーリー。
嘘が物語のテーマになっており、更に主人公の目的が「初恋の少女を探しだす」であるため
ミステリーというか、駆け引きや推理などの頭脳戦要素が目立っている印象が強い作品。
ただ、それゆえに登場人物たちの言動がどこまで真実か、それとも嘘なのかを常に意識しながら
読まざるを得ないため、情報量自体は普通の学園ラブコメと大差ないにも関わらず、読書カロリーは高め。
ラブコメ面はフラグが立っていると思わしきヒロイン二人との同居生活が次巻からスタート。

主人公は初恋の相手である天才的役者「情華」を探すために芸能学校へ転校した少年。
役者としては「助演」として他の役者を輝かせる芝居が得意。
色々と事情があったせいで、小中高と学校にはほとんど登校しておらず、当然友達もほとんどいなかった。
目的のため、わざと親の七光りな凡人を演じていたりと、内面は計算高い策略家。「芝居は嘘」が信条。
好きなものはトランプを使ったゲーム全般。

ヒロインは元天才子役ギャル、直感型スター女優、兄推し義妹。
ヒロインたちがトランプのスートのアクセサリーをつけていることから考えて、あと一人追加されそう。
一番のお気に入りは脚本家として学内最高のSランクに君臨する逸材にして同い年の義妹、柊木来愛。
つややかな茶色のボブカットと、その上に乗ったお気に入りの真っ白な帽子が特徴的な美少女。
普段は大人しく理知的だが、内面はかなり情熱的(脚本や演出のことに関しては特に)。
ブラコンであり、兄を激推ししている。好きな映画は「耳をすませば」。

現時点(一巻)においての評価はC。
タイトル的にラブコメ要素ばかりが前面に出ている作品なのかなと思っていましたが、そんなことはなく
演劇パートの描写にも力が入っており、芸能にスポットを当てたラノベとしても十分楽しめます。
キャラに関しては、己の才能を隠しながら頭脳と演技力を駆使して暗躍する主人公のキャラが中々に新鮮。
ヒロインたちにしても、彼にただ踊らされるだけの人形ではなく、個人としての魅力が輝いていますし。
本筋は鏡心菜の復活劇を経て、情華が学園にいることを確信した主人公。
彼女はどこに? 主人公の謎多き過去とは? まだ見ぬSランク達の実力は? 気になる点も多いです。