純白と黄金   夏目純白(MF文庫J)



人生を戦う全ての仲間に捧ぐ―――真の強さを追求する物語。
大枠としては学園異能バトルものになりますが、この作品における異能力者=ヤンキーであるため
やっていること自体は異能バトルではあるものの、雰囲気自体は古き良き不良漫画といった印象。
というか、ヤンキーを世界観の中心に据えているがゆえのトンデモな設定が多すぎる…
東北がヤンキーの聖地だったり、ヤンキーに等級が存在していたり、邪気威(オーラのようなもの)があったり。
まあ、深く考えたら負けというか、単純に血沸き肉躍る熱さと勢いのバトルを楽しむのが吉。
ラブコメ面は一巻にして早くもメインヒロインの鬼津アオイと恋人同士に。

主人公は高校進学を機に東京都最大の喧嘩都市・猫丘区に引っ越すことになった東北出身の陰キャオタク少年。
その正体は東北で失踪したという伝説のヤンキー「純白の悪魔」その人だが
世間でヤンキーがどう思われているのかを知ってヤンキーを引退し、陰キャオタクになった。
義理堅い性格で、自分が喧嘩するのは好まないが、本物のヤンキー同士の喧嘩を見るのは好き。

ヒロインは猫好きヤンキー娘。
一番のお気に入りは猫丘区に住む黒淵高校所属の猫好きヤンキー女子、鬼津アオイ。
猫のような鋭い目つきをした金髪の美少女。高校二年生で主人公の一つ上の先輩にあたる。
正義感が強く、女ヤンキーらしく男勝りでサバサバした性格で、好きなものには飛びつくタイプ。
ただ、好きな人には献身的で、意外と弱気になることもあったり、料理上手だったりと乙女力も高い。
喧嘩都市と呼ばれる猫丘区をいつか善良なヤンキー文化の発信地にするという野望を持っており
そのために仲間を集め、自らも認めてもらえるように強さを追求している。
七年前、たまたま猫丘区を訪れた主人公にいじめっ子たちから救ってもらったことがある。

現時点(二巻)においての評価はC。
ディティールは昔の不良漫画っぽさ全開ですが、主人公が陰キャオタクという部分だけは今時感があります。
まあ、外見的には弱そうにしか見えない奴が実は最強の男だった! というのは浪漫のひとつですが。
堂々と強さを誇示して不良街道を駆けあがっていくのではなく、むしろ喧嘩を避けようとする。
しかし、イザとなれば秘めた最強の力を発揮し、無双の活躍を見せつけるというカタルシスも爽快ですしね。
ただ、この作品は一から十まで主人公が主役というわけではなく、他のヤンキー同士の戦いもあったりと
群像劇に近い感じもあります。テーマがヤンキーである以上、仕方ないんですけどね。人数多いですし。
本筋は主人公の所属校がライバル高校の二校目を降し、次巻は三校目が絡む喧嘩祭。