精霊少女に『カッコいい俺』だけ見せていたら、
いつの間にか最強になっていた
   平成オワリ(富士見ファンタジア文庫)



可愛い精霊たちと契約して思う存分無双するバトルファンタジーストーリー。
大枠としては勘違いものですね。このジャンルは「本当は最強なのに自分が弱いと思い込んでいる主人公」に
周囲が振り回される、というパターンが多いですが、この作品の場合は逆で、弱い主人公が
最強を演じて周囲を騙しています。とはいえ、彼に悪意はなく、愛しい精霊少女の期待に応えるために
という、同情の余地が多分にある設定なので、気持ちよく笑って読み進めることができるかと。
ラブコメ面は精霊ハーレムへの道を着々と進む主人公ですが、さて。

主人公は最低のEランクでありながら「黄昏の魔王」という二つ名を持つ伝説のマスター。
実は可愛い精霊少女と契約したいがゆえに、頼れるマスターに見えるようクールな強キャラのフリをしていたら
出会った精霊少女がそのキャラを完全に信じてしまい、後に引けなくなってしまったという経歴の持ち主。
精霊を恋愛対象として見ており、将来の夢は精霊ハーレムを作って毎日エロエロな日々を過ごすこと。
常にクールでスタイリッシュ、傲岸不遜で言動は直球(エロいこと以外)と強キャラらしいが
それは表面上のことでしかなく、内心では常に精霊への愛(性欲含む)で暴走しているアホな変態。
ただ、精霊のためであれば命懸けで身体を張ることを厭わなかったりと、心の強さは本物。
銀髪に黒いサングラス、黒のロングコートと、見た目は完全に裏稼業のヤバい奴。

ヒロインはお淑やかな精霊、ボクっ娘精霊。
一番のお気に入りは孤児院出身、コロシアムで全戦全敗の「最弱精霊」ブラックダイヤモンド。
黒髪を両括りにした、クリッとした優しそうな黒い瞳の小柄巨乳美少女。
コロシアムでのオッズはいつも高倍率だが、負けても頑張る姿が感動を呼んでファンも少なくない。
素直で天真爛漫、無邪気で健気な性格をしており、誰かを守る時にこそ力を発揮するタイプ。

現時点(一巻)においての評価はC。
格好をつけていたら後に引けなくなっていた。この一文だけ見ると主人公の自業自得感が半端ないですが
虚偽と自覚していて演技を続ける根本的な動機が「愛する精霊のため」なのだから許すしかない。
それに、本当な雑魚なのにもかかわらず、どんなに危機に陥ってもやせ我慢する根性は感心の一言ですし
ここまでブレなく格好いい姿だけを見せ続けることができるなら、そりゃヒロインたちも惚れこみますよね。
実情と異なるのは主人公の内面だけで、他は全部絆の力で勝利を掴む王道の英雄物語ですし。
本筋は新たな仲間を得て、望みを叶えるべく再び大会、そして神の試練へ。