顔さえよければいい教室   三河ごーすと(富士見ファンタジア文庫)



隠れた天才シンガーの成り上がりを描く、新時代の学園エンタメストーリー。
大枠としてはクリエイターものですね。物語の舞台となる学園の生徒は、放課後に行う配信活動の結果によって
学園から評価され、生活費が支給されるという設定になっているのですが、これが実に斬新。
美男美女であることは最低条件であり、学園のシステムを考えると、当然顔だけでは高評価が得られないので
それだとタイトル詐欺なのでは? と思ってしまいますが、読み終われば「そういう意味だったのか!」と
タイトルの意味が分かるようになっています。成程確かに「顔」の意味は美醜だけじゃないですわな。
ちなみに、メインヒロインの詩歌がシンガーということもあって、動画でオリジナルMVが公開されています。
ラブコメ面は今のところ進展なし。

主人公は自称マネージャーというていで芸能学園にスカウトされた妹の詩歌にくっついて入学を果たした少年。
斜め上から物を見がちな捻くれ者。とにかく楽して稼ぐことが好きで、そのためだったらなんだってやるタイプで
楽して生きていけそうな気配を感じたら秒で尻尾を振れるみっともなさを自分の長所だと思っている。
物事の判断基準の中心に妹を据えており、彼女の敵か、味方か、そのどちらでもないかの三極になりがち。
妹である詩歌の世話係を自認しているが、家事能力は高くない(というか、面倒くさがってやらない)
実は我流ながら見えないところで体を鍛えており、格闘技の経験者を一蹴できるほどの戦闘力の持ち主。

ヒロインは生活能力皆無妹。サブに自称作曲家な級友、勝気な歌姫、清楚な天才女優、ボクっ娘ダンサー。
二巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。

現時点(二巻)においての評価はC。
タイトルからして、ファッションや化粧、髪形改造などを描写しつつ容姿の美醜を競う話になるのかな?
と思っていましたが、そういう描写は少しだけであり、外見の良さは前提条件。
そこから努力・才能・戦略で評価を得ていくという、バチバチの成り上がり物語になっています。
キャラに関しては、生活能力皆無な引きこもりだけど音楽に関する才能は破格なメインヒロイン・詩歌と
そんな彼女の生活と活動を全面的に支えつつも、自身にも秘密がありそうな主人公のコンビが存在感抜群。
他のキャラも学園所属なだけあって才能のある面子揃いですし、見ていて飽きません。
本筋はダンス配信の人気争奪戦に勝利し、新たな仲間も加わってさらなる高みへ。