悔い改めよ!ハーレム学園 安藤白悧(講談社ラノベ文庫)
ハーレムを作るものとハーレムを作るもの。対立する概念の戦いが描かれる物語。
タイトルから受ける印象からしてドタバタコメディ路線なんだろうな、と油断していたら全然違っていた…
表向きは世界差別の撤廃を掲げて弓坂弾正により設立された「私立シャインライズ学園」
この学園が物語の舞台となるわけですが、設立の本当の目的は弓坂の血に連なる男子と
様々な世界での実力者の子女を恋愛させて弾正の閨閥の強化を果たすというもの。
もうこの時点で生臭いことこの上ないですが、生徒に異世界人がいたり異能バトルや伝奇要素があったりと
とにかくごった煮感満載ですし、全体的な雰囲気も暗くドロドロしている印象が強いです。
ラブコメ面は一巻終了時点でハーレムメンバーは三人(主人公は友人認識)ですが
肝心の主人公はメインヒロインの千城深姫ただ一人を恋人にしたいと考えており…?
主人公はある能力を持つがゆえに「私立シャインライズ学園」に入らざるを得なかった少年。
想いを結んだ女性の数が増えるほど超人的な力を発揮できるようになる異能「蒼髭」の持ち主。
一夫多妻制の象徴ともいえる人物の息子でありながら、頑固な一夫一婦制主義者で
飄々としたところこそあるものの、物腰穏やかで誰に対しても丁寧な口調を崩さないが
自身の利の為に必要とあらば悪辣とまではいかずとも策略をめぐらせることに躊躇しない性格。
勉学・スポーツ・武術・料理の腕前といったスペックは総じて普通レベル。
ヒロインは快楽主義なお嬢様、利己主義な眼鏡娘、闘い好きな異世界姫、病愛的な蛇娘。
一巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。
現時点(一巻)においての評価はC。
ハーレムVSハーレムという構図が面白いですね。まさかメインヒロインが一妻多夫の家庭の跡取りとは…
ロミオとジュリエットという表現ではまるで足りない、そりゃ敵対するしかないという関係性ですし。
しかも、当然のことながらこの二人だけで話が進むわけではなく、様々な設定や思惑が絡むのだから
情報量の多さゆえの読書カロリーの高さというか、多少の読みにくさがあるのが難点ですね。
キャラに関しては、やはり主人公の不憫さが目につきます。一人の女性だけを愛したいと願っているのに
自分の出自と異能のせいでそれが難しく、恋に落ちた少女は絶対的敵対者。頑張れ、マジで頑張れ。
関わりを持つヒロイン陣にしても、メインヒロインの深姫をはじめとして面倒くさい女揃いですし…
本筋は逆ハーレムの女王と恋人になりたいハーレムの王(ヒーロー)と、ハーレムの王と友人になりたい
逆ハーレムの女王(ヴィラン)が互いにお近づきになりたいがゆえの逆説な戦いが開幕。