この恋は元カノの提供でお送りします。   御宮ゆう(角川スニーカー文庫)



憧れと未練にときめく、ちょっぴり大人の青春ラブコメストーリー。
大枠としてはリア充(片思いの女の子との恋愛成就)指南ものですね。主人公に指南する人物が
元カノという点が特徴ですが、普通に考えたら元カレの恋愛に協力するヒロインとかわけがわかりませんねw
まあ、元カノといっても偽の恋人関係だったので、表面上は問題ないのですが…
しかしこの作品、ヒロイン三人全員が物語開始時点で「好意はあるけど恋愛までは行かない存在」というのが
後々面倒くさいことにしかなりそうにない感じで先が気になります。
ラブコメ面は本命の七野優花に振られて(二回目)しまった主人公ですが、さて。

主人公は日常に彩りが欲しく、チャットアプリを使い始めた二十歳の大学二年生。
チャットアプリで偶然再会した高校時代の元カノである柚木真波から恋愛指南を受けることに。
お人好しでノリがよく、やや調子に乗りやすいところがある性格だが、色恋にはヘタレ。
インドア派だが孤独が好きなわけではなく、叶うのなら人間関係も充実させたいと考えている。
お淑やかで温厚柔和、その実ちょっと腹黒いような人間味も持ち合わせて、でもやっぱり良い奴が好み。

ヒロインはしっかり者な元カノ、フレンドリーな女友達、大人びた先輩。
一番のお気に入りは主人公の片思いの相手にして、高校からの友達である同級生、七野優花。
くりんくりんの大きな瞳に丸く纏まった鼻、緩く巻いたセミロングの茶髪がほんわかした雰囲気を助長している美人。
一見大人しめだが社交的な性格をしており、誰に対しても当たり障りのない態度で接しているが
自身が信頼できない人には指一本触れたくないと考えていたりと、型にはまらない確固たる個の持ち主。
過去に一度、主人公の告白を振ったことがある。

現時点(一巻)においての評価はC。
この手の指南ものは「主人公を陰キャから陽キャに改造しよう!」なパターンがほとんどなのですが
この作品の場合は自身を変えるのではなく、お店選びであったり褒め方や気の遣い方であったりと
すぐに実践できそうな知識の提供がメインなので共感しやすく、納得感があります。
とはいえ、実践成功=恋愛成就、と簡単にいかないのがこの話のもどかしいところではあり
子供と大人の狭間である大学生らしい、良くも悪くも等身大でリアリティのある作風になっている印象。
本筋は二度目の失恋を経験するも、本命及び元カノとの友好関係は継続となり…?