冴えない僕が君の部屋でシている事をクラスメイトは誰も知らない
ヤマモトタケシ(角川スニーカー文庫)
生々しくも甘酸っぱい青春ラブコメストーリー。
大枠としては三角関係と不純愛を軸に据えたラブコメですね。タイトルの意味深さから想像できる通り
ヒロインの片割れがセフレ(勿論作中でも性行為をしている)というインパクトが凄い作品。
ただ、設定こそ生々しくはあるものの、性行為描写自体はほぼカットされているためエロさは薄めです。
男女のドロドロ感もさほどではなく、むしろ爽やかな読後感すら感じる構成になってますしね。
まあ、もう一人のヒロインがカーストトップの陽キャということで、それが原因となって発生する
イジメや人間関係の変化といった陰湿なスクールカースト要素は少なからずあるのですが…
ラストは自身に好意を寄せる少女二人ともを選び、主人公はずっと三人一緒にいたいと願うのだったエンド。
主人公は同級生の高井柚実と隠れて「セフレ」の関係を続けているクラスの日陰者男子。
ぼっち気質の陰キャ。読書が趣味で、アニメやライトノベルを好むオタク。
理屈っぽく、目立つのが苦手で自分に自信がないなど、一見大人しく見えるが意外と気が強く
自分が悪意に晒されるのは構わないが、大切に思う人がそうなるのは見過ごせない。
セフレがいるせいか、他者からは余裕があり女慣れしていて大人っぽく見えるらしく…?
ヒロインは根暗なぼっち娘、人気者な陽キャ娘。
一番のお気に入りは主人公がコンドームを買う場面を目撃したことが切欠となって彼に興味を持ち
昼休みや放課後に何かと絡んでくるようになったクラスメイト、上原麻里花。
明るい髪色に染めた緩いパーマの、圧倒的なバストを持つスタイル抜群な綺麗さと可愛さを兼ね備えた美少女。
その華やかな見た目と人気でクラスの上位カーストに所属しており、男子からの好意を集めまくっているが
明るく朗らかで誰に対しても偏見がなく、オタク趣味にも理解があるなど、性格は極めて良い。
また、注目されていても特に気にすることもなく、どこまでいっても飾ることなく自然体。
雰囲気の派手さに反し、色恋には積極的で情熱的だが同時に純情でもある。
評価はD。
身体だけの関係の根暗ぼっちVS純情ゆえに正統派なラブコメで距離を縮めていく人気者。
という、対照的すぎる二人のヒロインに挟まれる主人公、という構図が新鮮で面白かったです。
ただ、肝心の主人公がイマイチ好感を抱きにくいというか、そもそも彼って、前者の高井柚実に対しては
肉欲に流されただけ、後者の上原麻里花に興味を持たれた理由がほぼ勘違いによるものなのが…
決して良いところがないわけではないのですが、マイナス面のほうが目立っていたのがなぁ。
本筋は非現実要素のない現代日本が舞台でありながら、まさかの公認二股エンドという意外な結末に。
まあ、問題が解決したのはあくまで当事者三人の間のことでしかなく、当然世間の目や将来のことなど
先には困難しか待ち受けておらず、また、それらを跳ねのけるだけの強さは彼らには見えないままだったので
ぶっちゃけ数年後は破綻していそうなのが怖いですが、それでも彼らが幸せになれると信じたいところ。