聖剣使いの禁呪詠唱   あわむら赤光(GA文庫)



前世の記憶を力に変える転生者達が織り成す学園ラブコメ&バトルストーリー。
身に宿るは前世の力、という直球過ぎる厨二設定が実にラノベらしく活かされている作品です。
人類に仇なす敵VS最強の力を持つ主人公と仲間達というわかりやすい構図なのでバトルの爽快感もバッチリ。
また、脇を固める味方キャラたちがそれぞれ好漢&良美少女ばかりなのもグッド。
ラストは我執我欲で世界を手にせんと暗躍し、牙を剥いた前世からの因縁を持つラスボスを撃破。
数年後、世界を救った救世主たちは今日も戦いを繰り広げ、少年は第三の伝説の道を歩むのだったエンド。
ラブコメ的にはヒロイン五人とハーレム事実婚状態な同居生活(子供あり)状態で終了。

主人公は剣聖と禁呪使い、二つの前世を持つ少年。
転生者の中でも例を見ない「最も古き英霊」であり、その素質は最強クラス。
マイペースかつ大らか、そして楽観的な性格で、人にあわせることを苦手としている。
家が貧乏なため、お金にシビアで倹約家。平凡に暮らせるだけのお金があればよいという考え方の持ち主。
特に正義感が強いわけでも、救世主願望や名誉欲があるわけでもないのだが
何かを理不尽に奪おうとする存在を許さず、筋の通らないことを嫌う気質。

ヒロインは元気印な前世の妹、謎めいた前世の嫁、おませな幼女、ボーイッシュな先輩、白人巨乳転入生。
あと、セクハラ大好き先輩や陽気なアメリカン先輩。各国に現地妻的ポジションのサブヒロインが数人ずつ。
一番のお気に入りは相棒ポジションなボーイッシュ先輩、百地春鹿。
学内最高のスピードを誇り、そのことから部隊における主人公の相棒役を務めている。
屈託や裏表がなく、まっすぐな気性の持ち主。また、意地っ張りであり、隠し事が下手なタイプ。
外面的には男の子のような飾らない雰囲気、言動、そして体つきをしているものの
自身が女の子であることを自覚せざるをえない状況になるとただの純情少女と化したり、貧乳を気にしていたり
自分に自信がなかったりとギャップ萌え的な女の子らしさと可愛らしさを兼ね備えている。

評価はA。
これぞ正しい異能バトルラノベ、と太鼓判を押したくなるくらい清々しい主人公無双物語なのが素晴らしかったです。
変な捻りや長い溜めも殆どなく、まっすぐに王道正道を進んでいくので不安なく読めましたし
何より、主人公だけではなく、ヒロインズや仲間たちにもしっかりと活躍する描写が割かれており
一人に頼りきるのではなく皆で頑張る! という意欲が目に見えるのも中々に熱かったですしね。
その上でどの巻も必ず最後は主人公が決める形になっていたので、主観にブレを感じることもなかったですし。
本筋は最初から最後まで妥協なく厨二感溢れる怒涛の展開尽くしで駆け抜け切ったことに大満足でした。
最終決戦の全戦力集結、同情の余地のないラスボス、タイトル回収の決着打といったお約束具合も申し分なし。
あえて残念だった点を挙げるなら、ラブコメの色々をスキップしすぎだったところでしょうか。
複数の伴侶を選ぶ葛藤とか、個別の告白シーンとか、そういうのを全部飛ばしてハーレムで終わりました、はなぁ。