みんなのアイドルが俺にガチ恋するわけがない   羽場楽人(GA文庫)



自分と向き合う、ちょっと不思議な分裂系(ギャップ)ラブコメストーリー。
夜に虹がかかる不思議な島「夜虹島」が舞台になっており、夜の虹を浴びると自分の影(レプリカ)が
勝手に動き出すという分裂現象が発生する、というファンタジー要素がある世界観が特徴。
表と裏、建前と本音。人間であればだれもが持っているであろう二面性をレプリカという形で明確にし
自らの悩みや闇と本心で向き合っていく、というのがストーリー上のメインなのでシリアス度は結構強め。
ラブコメ面は今のところ進展なし。なお、みんなのアイドルは主人公にガチ恋した模様。キスを決行したヒロインも。

主人公は分裂現象に悩む恵麻久良羽を助けるため、協力を申し出た銀髪が特徴の高校二年生の少年。
裏表がまったくなく、本人に悪気こそないものの、無表情不愛想のマイペースな性格+口下手。
そして、機微や情緒に乏しい鈍感なところがあるがゆえに、会話が噛み合わず誤解を招くこともしばしば。
思ったことをそのまま口に出すことが多いため、異性に自覚なき口説き文句を吐くことも。

ヒロインは先走り系元アイドル、おっとり系級友、クール系級友、尊大な女神、奔放なアイドル。
一番のお気に入りは主人公と同じアルバイト先で働いているクラスのアイドル的存在、皆守悠帆。
肩のあたりまで伸ばした艶やかな髪、愛くるしい顔立ちにパッチリとした目元が可愛らしい巨乳美少女。
人当たりがよくおっとりした性格で、いつも柔和な微笑みを浮かべている。
誰に対しても分け隔てなく接するため、学校では学年を問わず多くの男子から告白をされる人気者。
主人公に片思い中だが、大ファンの久良羽が恋敵になってしまう。

現時点(二巻)においての評価はC。
ラブコメではお約束とも言える恋愛鈍感力を発揮しまくっている主人公と、それに振り回されるヒロインが
見ていて愉快ですが、彼の鈍感さには理由があり、それが世界観にちゃんと密接しているのがいいですね。
ヒロインを真摯に助けようとする動機にもなっているので感情移入が容易ですし。
一方、ヒロイン側はタイトルの「アイドル」が久良羽だけにかかっていなかったのが良い意味で意外でした。
確かに「クラスの」も「観光客の」も規模が違うだけでアイドルではありますしね…
そんなヒロインたちに囲まれている主人公は羨ましいですし、恵まれているなんてものではないですが。
本筋は現役アイドル立石蘭の分裂現象を解決し、主人公はオリジナルとレプリカの人格を統合することに成功。