ブービージョッキー!! 有丈ほえる(GA文庫)
萌えて燃える、熱狂必至の競馬青春コメディストーリー。
大枠としてはスポ魂ものになると思われますが、題材が競馬というのはかなり珍しい。
この本が発売された時点で「競馬と言えば?」と問われたら「ウマ娘」が最初に頭に浮かびますが
当作品に登場する馬は見た目も中身も普通に馬ですし、ラブコメするヒロインは普通に人間です。
とはいえ、じゃあ馬はおまけ扱いなのかというと勿論そうではなく、勝負に挑む唯一無二の相棒としての
存在感はバッチリですし、そういう意味ではヒロインと呼称することに何ら不足はないのですけどね。
ラブコメ面は人も馬もそれぞれの「セイラ」のオンリールートでほぼ確定っぽいですが、さて。
主人公は十九歳の若さで日本最高峰の重賞競走である日本ダービーを制するも、そんな栄光も今は昔。
ダービー馬を怪我させたトラウマのせいで勝てなくなり、ブービージョッキーと揶揄されている若手騎手。
美人馬主・美作聖来が連れてきたサラブレット・セイライッシキに騎乗することに。
騎手らしく負けず嫌いな部分こそあるものの、基本的にはヘタレで自分に自信がない。
ただ、馬のために腹をくくった時の意思の強さと爆発力は目を見張るものがある。
気持ちよく馬を行かせて、無謀とも言える先行策をとるという騎乗スタイル。
ヒロインは甘やかし好きな馬主、狂暴な愛馬、天真爛漫な厩務員、反骨精神旺盛な後輩。
二巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。
現時点(二巻)においての評価はC。
他のスポーツものとは違い、競馬はギャンブルとしての側面が強い公営競技なだけに爽やかさは薄め。
勝利に拘る必死さや泥臭さが前面に出ており、更には厩務員、馬主、騎手と競馬に関わる人間が
それぞれの立場からくる想いを見せてくれる人間ドラマ要素が濃い作品といった感じですね。
なお、競馬関連の専門用語などについては素人にもわかりやすい説明が作中に用意されているので
競馬をロクに知らないという読者でも読みやすい仕上がりになっているかと。
ただまあ、現実に即した世界観になっているがゆえに「いやそれはどうなの?」な描写もチラホラ存在し
競馬好きからすると逆に引っかかる描写が多いのが難点ですが、そこはご愛嬌ということで。
本筋は武者修行を経て新たな武器を手に入れた主人公。そしていざ強敵の待つGTでの戦いへ。