私のほうが先に好きだったので。　　　佐野しなの（ＧＡ文庫）



ピュアで、本気で、だからこそ取り返しがつかない、間違いだらけの青春焦げつき泥沼三角関係恋物語。
大枠としては三角関係を題材にしたラブコメですね。ヒロインの片方が元カノで幼馴染でお互いに未練があって
でもそれを双方が気付いていない、というもう泥沼一直線の設定に戦々恐々です。
更に、これだけなら元鞘一直線で、もう一人のヒロインが最終的な貧乏くじ確定っぽく見えますが…
彼女は彼女で色々裏があるため、そんな単純な展開にならなさそうなのも面白い。
そも、タイトルが「好きだったのに」ではなく「好きだったので」の時点で色々と察することができますし。
ラブコメ面は両ヒロインに「自分にはあなたしかいない」と縋りつかれた主人公ですが…？

主人公は幼馴染かつ元カノである加二釜小麦のことを全力で引きずっているが
彼女の親友である鳩尾桜子を紹介され、ショックを受けるも彼女と付き合うことになった高校二年生の少年。
小三の頃、小麦に孤立無援の冤罪から救われたことが切欠で、嘘を嫌悪し、真実こそ追い求めるべきものだ
という信念を持つ「真実最高マン」になった（ある時期までは嘘をつくことすらしなかった）
嘘が嫌いであるがゆえに嘘を見破るための観察力が高いが、女心には疎い。報道部所属。

ヒロインはクールな元カノ幼馴染、大天使な今カノ。
一番のお気に入りは主人公の元カノ（周囲には秘密にしていた）にして幼馴染、加二釜小麦。
暗褐色のさらさらのロングヘア、表情に乏しくも人を射抜くような目が印象的な、端正な顔立ち。
細身ながら平均以上の大きさの胸を有する、いつでも背筋がピンと伸びている凛とした美少女。
いつもクールで無表情で素っ気なく、他人に興味のないマイペースな女の子というのが周囲の評価だが
実際は融通が利かないがゆえに人に合わせるのが苦手で、表に感情が出にくいだけだったりする。
また、熱い正義感と誠実さを内に秘めており、理不尽に人が傷つくのが許せない。
表面上のイメージとは裏腹に、趣味は料理、特技はお菓子作り、動物好きで世話焼きな一面も。
親友である鳩尾桜子のため、そして自分の未練を断ち切るため彼女を主人公に紹介した。

現時点（二巻）においての評価はＣ。
主要キャラ全員が絶妙な場面で利己的な行動をとり、そこに間の悪さが重なってややこしくなっていく事態。
三人とも、クズとまでは言いませんが「お前なぁ…」と呆れたくなるのは仕方ないですねｗ
キャラに関しては、嘘が嫌いであるがゆえに嘘に苦しむ主人公が見ていてツライ。
あえて比較するならば、彼が一番悪くないからなぁ。女運が良いのか悪いのか、結末次第になりそう。
一方ヒロイン側は二人とも面倒くさいの一言。まあ、本音出しちゃうと即決着しちゃうから仕方ないのですが。
本筋はすれ違い、誤解、思惑の錯綜が積み重なり、遂に修羅場へ。