最低ランクの冒険者、勇者少女を育てる   農民ヤズー(HJ文庫)



生存特化の冒険者が才能S級女子高生を育てる最強勇者育成譚。
大枠としては教官ものですね。中年かつ既に冒険者として活動しているのに教え子(ヒロイン)たちと
パーティを組む都合上、学校に頻繁に顔を出さないといけない主人公は南無。
なお、教官ものの主人公というと、その実力を表に出している、出していないという差異こそあれど
生徒を上回る実力者である、というのが常ですが、この主人公の場合戦闘力では負けてます。
勿論、手段を選ばなければその限りではないのですが、まあ、生存特化の冒険者ですからね。
経験と知識を武器としたいぶし銀な活躍っぷりは独特の爽快感を味わうことができるかと。
ラブコメ面はヒロイン側の好感度は上がる一方ながら、年齢差ゆえに主人公に今のところその気はなし。

主人公は三十歳を超えても最低ランク三級の冴えない冒険者。
実は特級ですら死ぬようなダンジョンからも帰還した「生還者」と呼ばれる伝説の存在。
いつもものぐさでやる気なさげであり、プライドもないため、自分が貶されても然程気にしないが
いかなる理由があったとしても、仲間を馬鹿にするやつは気に入らない、面倒見がよく仲間想いな性格。
自分が死ぬのが、自分の周りの誰かが死ぬのが嫌だから、という理由で文字通り必死になれる。
恋人がいたが、ダンジョンで原因で失っており、生存特化のスタイルはその復讐によるものが大きい。

ヒロインは努力家な天才娘、勝気な重戦士、面倒くさがりな魔法使い、内気な治癒師、無垢な世界最強。
一番のお気に入りは治癒に加えて結界の展開もできる一級治癒師、北原柚子。
黒く長い髪を分けて両サイドから前に流している、全体的に地味目な巨乳美少女。
大人しく内気な性格だが、仲間のために立ち上がることができる強さの持ち主。

現時点(五巻)においての評価はC。
異世界と繋がりダンジョンが生まれた地球、という世界観なので当然ダンジョン攻略がメインなわけですが
主人公に他者を圧倒する力はないため、派手な展開はあまりないものの、その分ちゃんと地に足がついた
描写になっているので、読んでいるうちに物語にしっかりと入り込めるのはグッド。
キャラに関しては、大人として未熟な若き仲間を見捨てずにしっかりと導いていく主人公が気持ち良い。
一方、そんな彼に教えを受けることになるヒロインたちは最初こそ年齢相応の生意気な面が見えるものの
彼の実力を認めてからの素直さや、年頃乙女ゆえの可愛らしさが良い感じ。
本筋は教え子たちとの手合わせを経て、主人公は改めて教導官として頑張ることを決意し、次巻。