ハンドレッド   箕崎准(GA文庫)



宇宙から飛来してくる謎の敵に対抗できる唯一の武器「ハンドレッド」を操る少年少女たちの学園バトルアクション。
特殊なパワードスーツを纏ってのバトルと美少女ヒロインたちとのラブコメがメインになっています。
人同士のバトルもありますが、主要な敵が地球外生命体という後腐れのない存在なので
スピード感のある戦闘シーンと敵撃破後の爽快感が上手く噛み合っている感じですね。
主人公に宿る謎の力、蠢く陰謀といった物語の背景も十分ですし、ストーリー的にも興味をそそる作品です。
ラストは世界に終焉をもたらさんとする自律進化型巨大破壊兵器を撃破し、宇宙に平和が訪れ
そして十五年後、世界中が見守る中、未来を担う子供たちの戦いの火蓋が切って落とされるのだったエンド。

主人公は歴代一位のハンドレッド反応数値を持つ少年。
良くも悪くも毒もアクもない性格で、普通に正義感があり、普通に異性に興味がある感じ。
基本的に受け身な性格で、自分や他人の命、あるいは大事なものが賭かっている時に本領を発揮するタイプ。
また、かなりのうっかり気質であり、それが原因で失言したりハプニングを引き起こすこともしばしば。
あと、世界レベルの大人気歌手を知らなかったりと、世情に疎いところがあったりする。
両親を亡くし、施設暮らしだったため、面倒見がよく、応急措置や裁縫はお手の物。

ヒロインは男装幼馴染、誇り高き生徒会長、ヤンデレ(?)病弱妹、大人気歌姫、寡黙な元密猟者。
一番のお気に入りは学園最強にして生徒会長のクレア・ハーヴェイ。
生徒会長の他に、海上学園都市艦リトルガーデンの艦長も兼任しており「無敗の女王」と称されている。
縦巻きにカールしたブロンドの髪と抜群のスタイルの持ち主で、口調は外見イメージ通りのお嬢様口調。
やや高圧的で自他に厳しい性格だが、度量が広いところもあったりとノブレス・オブリージュを体現しているタイプ。
異性との接触に免疫があまりなく、派手な外見に反し色恋沙汰にはかなり純情。

評価はC。
全体的な雰囲気や流れは王道で悪くないのですが、主人公とメインヒロインの主役コンビが難ありでした。
メインヒロインのエミリアは自己中&主張が強すぎて正直ウザく感じてしまう場面が多々あり
その上他ヒロインを押しのけるように動いたりするので、可愛げより先に鬱陶しい面ばかり目立ったんですよね。
主人公は逆に自己主張に欠け、基本的に押しに弱く流されやすいだけのイエスマンでしたし。
色恋沙汰が絡まなければ有能で頼もしいだけに、最後までそこに変化がなかったのは残念なところ。
本筋は全ての伏線や因縁をキッチリ消化し、話を破綻させることなく綺麗に纏まっていたと思いますが
反面、そのせいでラスボスや恋愛面など、割を食っている部分が個人的には引っかかってしまいましたね。
ラスボスはポッと出な上に弱体化させられて結構サクッと倒されたので最終決戦なのに盛り上がりが微妙でしたし
恋愛面はとにかくエミリア贔屓が露骨すぎというか、他ヒロインは土俵にすら上げてもらえなかったからなぁ…
ストーリーだけ追えば面白いけれど、ラブコメを絡めて評価するとマイナスが大きいというのが総評でしょうか。