男子高校生のハレルヤ!   一之瀬六樹(GA文庫)



男女共学実現のために、女子校に潜入することになった三人の男子(?)たちのコメディストーリー。
こういった「女の園に男が紛れ込む」系統の話にしては珍しく、男が主人公だけではありません。
が、残り二人のうち一人は明らかに女で、もう一人もなんか身体的におかしいところがあったり。
なので結局純粋な男は主人公だけな気がします。
大枠はコメディ中心の構成になっており、ツッコミ無用な破天荒描写多数なので広い心で読むのが大事。
冷静に読むと、おかしいところが多すぎて疲れますし。

主人公は誤解と陰謀によって、女装して女子校に通うことになってしまった男子高校生。
小柄で童顔、しかも女顔。更にはセミロングの髪と外見はどう見ても美少女。
しかし、本人は女と間違われるのを嫌っている(ならせめて髪切れよと言いたいが)
ほぼ素で生活していても、男だとバレないほどの乙女力の持ち主ではあるものの
その心根は正義感が強く、友情に厚いなどと、結構男らしい。
本人に自覚はないが、ごく自然に女の子の琴線に触れる台詞を吐くなど、天然コマシの才能がある。
姉から逃げるため、という悲しい理由で鍛えられた足の速さはかなりのもの。

ヒロインは男性恐怖症の女装少女、剣道バカな幼馴染、無口でぼっちな後輩。
サブヒロイン的ポジションとして、剣聖な先輩、美少女好きな先輩、気さくな同級生、憧れの先輩なども。
一番のお気に入りは剣を捨てた少女、鬼瓦萌子。
氷のような美貌、人形のような無表情と、正に文字通りのクールビューティー。
かつて全国大会で優勝し、剣聖と称されるほどの剣の腕を誇っていた。
が、その強さゆえに好意を持っていた相手を傷つけてしまいそれが原因で剣を置く。
それ以降は女らしさを身につけ、精神を鍛えるために女子校へ入学し、茶華道部に入部するという経緯を辿っている。
とはいえ、いちご牛乳が好物だったり、自身の胸の小ささを気にしていたりと、素で十分女の子らしいという説も。

現時点(四巻)においての評価はD。
とにかく勢いが凄い作品なので、一気に楽しく読み切れてしまう。
が、冷静に読んでみると、不条理ギャグはまあいいとしても構成のカオスさが目立つのが難点ですかね。
何の非もない主人公が、大人の都合でリスクばかり負うというのも不快ですし…
主人公のお人よしさで強引に流してますが、明らかに主人公含めて学生側が色々あっさり納得しすぎ。
大人の理不尽も嫌ですが、なんだかんだで丸め込まれすぎる主人公側もなぁ。
キャラは皆活き活きしていい感じなだけに、すっきりと読めないのが残念な作品ですね。
……まあ、そもそも女装して女子校に、という設定の時点ですっきりできるはずもないんですがw
とりあえず四巻で一区切りとのことですが、続きでるとしてネタ続くのかこれ。