俺の召喚獣、死んでる   楽山(富士見ファンタジア文庫)



やがて世界を救う召喚術師のサモンバトルファンタジーストーリー。
舞台が召喚術師養成学校ということで、当然メインは召喚獣を相棒としたバトルになるのですが
この作品の掴みにして最大の問題はタイトル通り、主人公の召喚獣が死んでいるという点。
いや本当どうするんだこれ……と思っていたらその解決策がまたとんでもないという。
まさか割れている頭蓋から死体に乗り込んで魔法で操縦とは。完全に巨大ロボットもののノリである。
ラブコメ面は今のところ進展なし。

主人公は終界の魔獣パンドラ(死体)を相棒の召喚獣とする、召喚術師養成学校に通う苦学生の少年。
奇抜な作戦を思いつくチームの中心人物で、農家出身ゆえに苦学生をしている。
言動は粗野で型破りなものが多いが、根は真面目で時と場合はわきまえるタイプ。
仲間想いで面倒見の良い性格をしており、困っている人を見過ごせない男気の持ち主。
母親が死去してからお金に苦労し、果てに殺されてしまった父親の人生を嘘にしないために
借金嫌いを流儀としている。おごり返す当てがないがゆえにおごられることも嫌い。
故郷の村にいたころから雇われ料理人であったため、厨房には慣れている。

ヒロインは凛とした王女、ダウナー系大天才。
一番のお気に入りは大天才だが変わり者な主人公のチームメイト、ミフィーラ。
金色の瞳に顔を半分隠しているくせ毛の前髪、頭頂部辺りでぴょこんと立っている一房の毛。
そして、街の市場を歩けば十歳時に間違えられる、十六歳には見えない小柄な身体が特徴の美少女。
学院入学前に大寄書の解読に成功した大天才で、死精霊が住み着いた亡骸をこよなく愛している。
感情を表に出すことは滅多になく、口調も淡々としているが、チームメイトには懐いている。

現時点(一巻)においての評価はC。
良い意味で裏切られたというか、召喚術師同士によるバトルというイメージを完全に覆されました。
ファンタジー世界でまさかの巨大ロボット(機械ではなく巨大な死体ですが)バトルをやるとは…
転移者や侵略者が持ち込んでくる、古代文明で使っていたものが発掘された。
みたいなパターンはたまに見かけますが、そもそもロボットではなく死体ですからね動かすのは。
キャラに関しては、召喚獣が死んでいるという無理ゲースタートにもかかわらず、決して諦めることなく
約束を果たすために戦いの場へと立たんとする主人公の前向きさと不屈の精神が格好いい。
そんな彼に協力する仲間たちや、ライバルにしてメインヒロインのサーシャとの掛け合いも良い感じ。
本筋は世界を滅ぼさんとする復活の執行者を撃破し、世界を救った主人公ですが、さて。