好きな人がバレたら死ぬラブコメ   玖城ナギ(富士見ファンタジア文庫)



強制的にイチャイチャさせられる学園で、元天才少年と天才少女が挑む命懸けの恋愛頭脳戦。
この作品における特徴である、学園の必修科目「恋愛学」ですが、これが中々に酷いw
好きな人がバレた生徒は退学であったり、一位になった生徒は強制交際権を得ることが可能だったりと
明らかに倫理や法律に違反している無茶苦茶極まりないルールが設定されているわけで。
そのくせ、恋愛学における点数は課せられた課題に対し「異性をドキドキさせた分だけ」入る仕組みで
何じゃそりゃと突っ込まざるを得ないふわっと具合(一応科学的な判定装置はある)ですし。
まあ、強制的にラブコメイベントを起こせるわけだから、便利な設定であることも確かなのですが。
ラブコメ面は春香という本命がいるのに、ミスから別の相手と交際することになった主人公ですが…?

主人公は天才の養成機関である覇王学園に入学した桜雨春香のことが好きな「仮・特待生」の少年。
元天才だけあって学力や考察力は高いが、テンパると馬鹿になるなど、メンタルは弱め。
また、鋭い系主人公を自称しているが、実際は女心に鈍感で、相手の思惑を勘違いしがち。
過去、世界中の人間を敵だと思っていた自分を救ってくれた春香のような「優しい人」になりたいと願っている。
今は普通の少年として過ごしているが、昔は数学界の寵児として「神童」の名を欲しいままにしていた。

ヒロインは心優しき天才、モテモテお嬢様、からかい好きな級友。サブに元ヤン担任教師。
一番のお気に入りは主人公のことが好きな「仮・特待生」の天才、桜雨春香。
アルビノゆえの透き通るような白い肌、紅玉の瞳、目元を隠している長く伸ばした白銀の前髪が特徴の美少女。
主人公の、自分と相手、皆を幸せにしようとする「強さ」に憧れ、彼のようになりたいと願っている。
勝ち気な性格で、天才と評されるに相応しいスペックの持ち主だが、色恋に関してはかなりポンコツ。
特技は料理。筋肉フェチで細マッチョに興味津々。

現時点(一巻)においての評価はC。
両想いなのに、お互いが相手には別の好きな人がいると勘違いして、だからこそ恋愛学一位の権利である
強制交際権を行使することで相手を手に入れようと心理戦に奮闘する主人公と春香がとにかく愉快。
頭脳明晰なはずの両者が己の恋心ゆえに残念化しまくっている姿にはニヤニヤが止まりません。
退学というリスクが常に付きまとってはいても、コミカル感の強さのほうが目立つので軽く読めますし。
キャラに関しても、恋愛頭脳戦という都合上、相手を欺くような言動をとる人間ばかりではあるも
あくまでラブコメが軸であるがゆえに、ガチの悪人がいないので読み味はスッキリしていますしね。
本筋は好きな人バレによる退学の危機を乗り越え、最初の月の一位の座(特待生)をゲットするも
特権の行使ミスをしてしまったため、もう一度特待生になるため、再びの青春デスゲームへ。