妹の親友? もう俺の女友達? なら、その次は――?
エパンテリアス(富士見ファンタジア文庫)
女友達との友情が交錯する、甘酸っぱい青春ラブコメストーリー。
大枠としてはファンタジー要素皆無な、現代日本を舞台にした学園青春物語ですね。
タイトルにもある、メインヒロイン間宮凛の「妹の親友」というポジション。
リアルだと家に遊びに来た時、たまに顔を合わせることがある。その程度の関係性でしかなく
それ以上の関係に発展しないパターンが大多数を占めるわけですが、この物語はラノベなわけで。
みるみる関係が深まっていき、妹の友達→女友達とランクアップし、ついには恋慕も…?
という、段階を踏んで進展していく関係が実に青春していて爽やかな読み味を与えてくれます。
ラブコメ面はタイトル的に考えて凛の一強っぽいですが、委員長は対抗馬になるのか否か。
主人公は妹の親友である間宮凛が同じ学校の後輩になったことで距離が近づいた高校二年生の少年。
基本的に面倒くさがりな性格だが、やるべきことに対しては真剣に取り組むタイプ。
良く言えば凄く回りに気を遣う性質で、悪く言えば踏み込むのが苦手。
自覚はないが、割と重度のシスコン。わかりにくい言い回しをする癖と、焦ると方言になる癖がある。
恋愛に疎く、興味もなく、彼女も好きな女の子もいないがそれでいいと思っている。
中学まで剣道をしていたこともあり、体力と足の速さは人並み以上だが、走る以外の運動は壊滅的。
ヒロインは妹の親友、優等生な学級委員長。サブに口やかましい実妹。
一番のお気に入りは主人公の妹である糸原早紀の親友にして同じ学校の後輩、間宮凛。
整いすぎた可憐な顔立ちの、どこかの芸能人かと思わせるような綺麗系の美少女。
礼儀正しく、真面目で丁寧、慎重な性格。一度決めたことは曲げないところがある。
人当たりは悪くないが、性格と察しの良さが相まって、対人関係で余計な心労を抱えてしまいがち。
特技は料理と家庭的。好物は柑橘系とチーズケーキ。
現時点(一巻)においての評価はC。
ラブコメ作品の主人公なのに「恋愛に興味がない」というキャラは昨今では珍しくはないですが
大体は過去に恋愛関係でトラブルがあってトラウマになっているなどの事情があるのが常。
しかし、この作品の主人公は特にそういうこともなく、ただそういう考え方をしているだけ。
というのが実に今時の若者っぽい。だからこそ、攻略が難しくなっているのが皮肉なのですが。
そんな彼を攻略しようとグイグイ距離を詰めていく凛の奮闘は可愛くて萌えるんですけどね。
あと、珍しいのは主人公の妹である早紀のキャラでしょうか。この手の作品の妹キャラというのは
ブラコンないしは反抗期、親友の恋路を応援ないしは大反対するなど、言動が極端に寄っているものですが
そのどちらでもないどころか、そもそも兄と親友の距離を知ってすらいないですからね。
本筋は凛の希望で、彼女に対する「妹の友達」という考え方を捨てることになった主人公ですが…?