シークレット・ハニー 深見真(富士見ファンタジア文庫)
世界崩壊の引き金になる。
そう予言された主人公と、彼を篭絡せんと迫るヒロインたちのハニートラップ&アクション。
設定だけ見ると、ギャグ要素の強いドタバタコメディかなって感じですが、シリアスもあります。
何せコトは世界レベルの話なので、各国暗部やテロリストも出張ってくるわけで。
とはいえ、極端に生臭い展開にはならず、日常と非日常のバランスは上手く取れている感じでしょうか。
一方、日常パートのラブコメ部分は主人公が実にリアルな反応で吹きます。
確かに突然外国人の美少女たちが迫ってきたらドン引きするよねw
ハーレムものの主人公は、大抵はヒロインに迫られると諦観を覚えるか鈍感を発揮するかですが…
この作品の場合は、アプローチを自覚して、その上で「これはおかしい」と考えているのが面白い。
主人公は世界の危機に関わると予言された、読書好きの少年。
常時落ち着いていて、余裕があり、喧嘩があればいつも仲裁役になっている。
他人のためなら危機を恐れず、受け取ることは遠慮し、与えることは惜しまない。
そして周囲や状況に安易に流されず「自分で考える」ことができ、精神的に老成していてタフ。
と主人公としての完成度がやたらと高い。
とはいえ、それは生来のものではなく、悲惨な過去を乗り越えながら育まれてきたものではあるのですが。
それと、老成していても年頃の少年らしく異性への興味はきちんとある模様。
なお、頭脳、運動、容姿といったスペック面は普通の一般人レベル。
テレポーテーション能力を持っていて、その応用性はかなり高い。
ヒロインはCIAのオフィサー、イギリスのスーパーエース、SVRの非合法工作員。
中国国家公安部のハッカー、クラス委員長、凶暴な実妹。
他にも、危機管理部の部長などもヒロイン化する可能性はありそう。
一番のお気に入りはクラス委員長な幼馴染、四天王寺花蓮。
文武両道の優等生で、長身で日本人離れしたスタイル、足元に届きそうな長い黒髪と絵に描いたような美少女。
ストイックかつ真面目な性格で、いつも危険なことをしている(巻き込まれている)主人公を心配している。
実は義母が公安の幹部であり、彼女から諜報や特殊作戦に関する訓練を受けてきたため
肩書きこそ一般人ではあるものの、能力的には工作員である他のヒロインに劣らない。
幼い頃から主人公に好意を持っていて、また主人公も彼女のことを好ましく思っているという両思いの状態。
しかしこの手の作品において、こういう関係性のヒロインは明らかに負けフラグではないだろうか…
現時点(二巻)においての評価はC。
まあ色々突っ込みどころが多すぎる作品だとは思いますが、全体的な雰囲気は好みですね。
主人公と周囲の人間たちの愉快なすれ違いは読んでいて楽しいですし。
頻繁に挟まれる、文学ネタもわからないネタが多いものの、アクセントがきいていて良い感じ。
ただ、テレポーテーションで世界の危機は大げさじゃね? と思わなくもないですが。
他の異能要素アリの作品だと当たり前のようにいるからなぁ、瞬間移動能力者って。
……しかしこれ、最終的にヒロインを選べるのだろうか。ヒロインの所属国ウマーで世界バランス変わるんじゃ?
なので特例でハーレムOKにして、ヒロイン全員嫁にするのが一番妥当だと思います!