幾億もの剣戟が黎明を告げる しもっち(オーバーラップ文庫)
異端の兄妹剣士が最強を掴む世界変革の英雄譚。
魔族と戦う領域守護者を養成するための学校を舞台にした異能バトルものですね。
魔王の力で太陽が隠されて都市外では夜しかない、人類の生存圏は七つの城塞都市のみと崖っぷち。
そのくせ人類内では差別や迫害が蔓延っているなどとディストピア感が半端ないです。
主人公兄妹は迫害されている民族の人間で、魔力や魔法の才能がないため周囲から侮られていますが
それだけに剣の腕一本で勝利を重ね、評価を得ていく底辺からの成り上がりっぷりは爽快感抜群。
ラブコメ面はメインヒロインのアサヒと両思い(結ばれてはいない)で、他ヒロインが割り込む余地はなさそう?
主人公は魔力を生む才能に乏しく、魔力を持つ者から「夜鴉」と呼ばれて蔑視されるヤマト民族出身の少年。
城塞都市の外側にある村落で育ち、襲撃してくる魔族と幾度も戦いながら生き延びてきた。
村落の人々を守るために領域守護者の養成学校に入学し、訓練生の頂点を目指すことに。
自分の考えを、たとえそれが周囲の常識と違っていても口にして、貫き通す意思の強さの持ち主で
物腰穏やかで真面目、誠実な性格。大好きな人たちをバカにする者、傷つける者は誰だろうと許さない。
お人よしということもあるが、ヤマトの戦士としての矜持ゆえに、仲間を決して見捨てない。
ヒロインはブラコンな義妹、傲慢な同期生、小動物系同期生、クールな先輩。
一番のお気に入りはユニークな魔法を持つ「偽紅鏡」にして主人公と同期の訓練生、モカ。
ウェーブのかかった亜麻色の髪に、同色の瞳を持つ巨乳美少女。
自分の能力に自信がなく、いつもおどおどしている。戦いは苦手だが料理は大得意。
現時点(二巻)においての評価はC。
戦うために必要な能力を持たず、その代替となる特異な力もなく、ただ鍛錬と実戦で極めてきた剣技で
戦場を駆け抜け、強者を倒していくという、最弱の身で最強を目指す主人公の姿が格好いい。
パートナーが武器に変身するという設定も面白く、常に孤独ではない戦いになっているのも燃えます。
まあ、敵の強大さに加えて、人類サイドの大半がどうしようもない人間揃いなのが読んでいてキツイですが
それだけに、兄妹剣士が周囲を感化し、変えていく様に胸がすきますし、期待が持てます。
本筋は学内トーナメントの予選の二回戦を見事に突破し、上位魔族の襲撃を退けることにも成功しましたが…?