王立魔術学院の《魔王》教官 遠藤遼(オーバーラップ文庫)
最恐教官と問題児たちが紡ぐ魔術学園譚。
大枠としては教官ものですね。教師である主人公が問題児たちを常識破りな教導で成長させていく。
という、バトルありのファンタジー系の学園を舞台にした教官ものとしては王道の構成になっています。
タイトルからして、てっきり主人公は文字通りの魔王で、素性を隠して教師をやることに。
みたいな設定なのかと思っていましたが、そんなことはなく蔑称のようなものでしかないという…
いやまあ、彼は実際に魔王の呼び名に相応しい威厳と圧、そして実力を兼ね備えているのですが。
ラブコメ面は今のところ進展なし。というか、主人公に恋愛するだけの心の余裕はなさそう。
主人公は勇者パーティーの元賢者で《魔王》教官と恐れられる冷酷無比な学院教官の青年。
教官としては冷徹にして冷酷で、学院生に相応しくないと判断した相手には欠片も容赦がないが
逆に見込みがあると判断した者には厳しくも誠実な指導をし、温情をかけることも。
魔王戦以前は不世出の天才として知られ、温厚な人柄を「聖者」とあだ名されていた。
ヒロインは聡明な教え子。昇格候補に妹弟子な副教官、才色兼備な教え子、正義感の強い教え子なども。
二巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。
現時点(二巻)においての評価はC。
この手の教官ものにおける主人公は、物腰穏やかな優男か不真面目な破天荒男。
というのがよく見かけるパターンなだけに、当作品の冷酷な魔王というキャラは中々に新鮮。
才能も秘密も、生徒のことならば何でもお見通し、といった感じの魔王っぷりが格好いい。
口が悪く厳しいというだけで、きちんと生徒たちを見守っているので優しさも伝わってきますしね。
勿論、不正を働く者や明確な敵には容赦ない手腕を見せてくれるので爽快感も抜群。
そんな彼が受け持つ生徒たちは、それぞれが退学級の問題を抱えている文字通りの問題児揃いですが
だからこそ、彼ら彼女らを導く主人公の教師としての言動が頼もしく、映えています。
本筋は倒すべき仇である五人の魔王の内、二人目を降し、三人目の陰謀を打ち砕くことに成功。