護衛のメソッド 小林湖底(電撃文庫)
裏世界最高の暗殺者が護衛チームを組み、死にたがりの少女を救う、学園異能バトルファンタジーストーリー。
大枠としては学園異能バトルものですね。と言っても異能力者の存在は一般的には秘匿されているので
異世界からの侵略者や人類と敵対する怪物と戦ったりはしないですし、学内トーナメントも開催されません。
メインヒロイン・久世灯理を狙う全世界の犯罪組織だけが敵です。それだけでも十分物騒なのですが。
ただ、設定の重さの割に内容自体はシリアス一辺倒ではないので、結構サクサク読み進められるかと。
まあ、コミカルさがある分、設定倒れになってしまっている部分もありますが。
年齢相応な面が見えるたびに「え、こいつら程度が裏世界最高なの…?」って思ってしまいますし。
ラストは新しい仲間を加え、表の世界を堪能しつつ護衛の日々は続いていくエンド。
ラブコメ的には進展がないまま終了。フラグ自体は見え隠れしていたのですが…
主人公は平和な学園生活をおくりたいと願い、私立克礼館学院に入学するも、入学早々、自分の過去を知る
学園管理者から「最大標的」である久世灯理の護衛を頼まれてしまった元・世界最高の「暗殺者」の少年。
裏表がなくポジティブで図太い性格をしており、他者に騙されても怒らない器の大きさの持ち主。
ずっと裏世界で汚れ仕事をやっていたため、世間知らずであり、他人の心の機微に疎くデリカシーがない。
また、平和主義者であり、理不尽な悪意を向けてくる人間、人をモノのように扱う人間を嫌っている。
普通の世界を追体験できるから、という理由で青春モノの娯楽を好んでいる。
ヒロインは心優しき最大標的、腹黒な占い師、勝気な探偵、ツンデレな詐欺師。ヤンデレな手品師。
一番のお気に入りは「衰運雪花」の通り名を持つ裏世界最高の「占い師」である高校生、牧田胡鈴。
くりくりした瞳に銀色の髪、家の事情で来ている巫女服が特徴的な美少女。
男受けするように気弱で控え目、純粋純情と庇護欲をそそられるような少女を演じているが
本性は寝起きに煙草を一服したり、一人になると他者への不満を吐きまくったりする擦れた性格にして
部屋に引きこもって一日中アニメやゲームに浸かっていたいと考えているオタク娘。
その正体は裏世界の神職集団「牧田神社」から派遣された工作員で、主目的は主人公の篭絡&取り込み。
評価はC。
バトルアクションシーンは意外性こそないものの、その分正統派ゆえの見応えがありました。
ただまあ、主人公チームに裏世界最高という肩書きほどの凄味を感じなかったのはマイナス点でしたが。
結構あっさりとピンチを招いてばかりでしたし。スペックの高さ自体はそれなりに伝わってきたんですけどね。
キャラに関しては、主人公の元暗殺者であり荒事のある場面では頼りになるのに、普段はどこか抜けていて
平和な生活を願っているという二面性というか、ギャップがキャラ立ちまくりでインパクトが強かったです。
ヒロインたちも全員業界では有名な異能力者なだけあって、皆個性が尖っていましたし。
本筋は二巻完結。ヒロインはまだまだ裏世界から狙われ続けるので根本的な問題は解決していないですし
ヒロインたちの掘り下げも不十分、ラブコメもまだまだこれからと、打ち切り感全開で残念無念。