蒼柩のラピスラズリ あさのハジメ(MF文庫J)
九十九ある魔女の遺産(ウィッチクラフト)を巡るバトルアクションストーリー。
大筋、設定共に王道で、わかりやすい目標が最初に提示されているのがいいですね。
家族愛に主眼を置いた構成も芯が通っていて、キャラの言動にブレがないので気持ちよく読めます。
メインヒロインがお約束の即暴力行使型ツンデレ見た目ロリなのには少々構えてしまいましたが……
ちゃんと可愛げとしおらしさがあり、暴力部分も大した威力じゃないのであまり気にならなくてグッド。
ラストは事の元凶を倒し、真由香と結ばれ、そして十年後―――エンド。
主人公は父親の借金のカタに、従姉妹の家に犬(みたいなもの)として売り払われた高校生の少年。
目つきがあまりよくなく、更に茶髪気味であるため外見は不良っぽい。
妄執ともいえるほどの家族想いで、家族のためであるならば、自己犠牲すら厭わない気質。
また、一度決めたことはそう簡単に覆さない、かなり頑固かつストイックな性格でもある。
早くに母を亡くしているため、家事全般をこなす事が出来るが、料理の腕前はそこそこ。
幼少時に剣術、学生時に剣道を学んでいて、それなりに剣の腕は高い。
ヒロインはツンデレなウィッチクラフト、ストイックな従妹、小悪魔な従姉、ドSな腹黒お嬢様。
一番のお気に入りは主人公を兄と慕う同い年な従妹、辻峰真由香。
黒のポニーテールに、スレンダーなスタイルの大和撫子タイプ美少女。
普段は外見の印象通りのクールビューティーなのだが、精神面は未熟で動揺すること(特に主人公絡み)が多い。
自分のせいで姉を失いかけた経験から、ストイックな生き方をするようになっていて
そのため、年頃の女の子らしさはあまりなく、異性にも免疫がない。
ただし主人公に対してはデレが見え隠れしまくっていて、呼称は「兄さん」
評価はB。
全体的に完成度が高く、突出したものこそないものの安定した面白さをキープし続けた作品かと。
主人公は自分を省みない部分こそあるものの、軸がブレない正統派であり
ヒロインたちも、あざとさを感じさせない程度に愛くるしさがあって不快感を感じませんでしたし。
本筋のほうは、終盤に主要キャラがほとんど死ぬか消滅してしまうという、ご都合主義なしの展開となり
最後も決してハッピーエンドとはいえない結末でしたが、話としては実に綺麗にまとまっており、読後感は上々でした。
不満をあげるなら、内容のほとんどが本筋進行とバトルばかりで遊びが少なかった点でしょうか。
ボス登場⇒苦労して倒す⇒背後にいた新ボス登場、のワンパターン展開の連続でしたし。
もっと日常&学園パートや、本筋に絡まない軽いノリの遺産収集パートを合間合間に挟んでほしかったところ。