君は初恋の人、の娘 機村械人(GA文庫)
悲しい初恋を引きずる仕事人間と、初恋の人にそっくりな女子高生による、二度目の初恋物語。
大枠としては年の差ラブコメですね。と言っても設定からしてコメディの占める割合は少ないですが。
何せアラサー社会人と一人暮らしのJKという組み合わせの時点でもう明らかなアウトなのに
それに加えてメインヒロインであるルナは初恋の人の娘で見た目も生き写しというのだから…
そりゃ主人公からすれば倫理的にマズイとわかっていても拒めるはずがないですよね。
初恋の人と重ねてしまうけれど、手を出すわけにはいかない。情動と理性がせめぎあう背徳感に注目。
ラストはメインヒロインのルナと結ばれ、そして五年後、二人は幸せな結婚式をあげたのだったエンド。
主人公は生き別れた初恋の人を引きずり続けている、大型雑貨店の店長を務める二十八歳の青年。
真面目で理性的、温厚な性格をしており、滅多なことでは声を荒げたり感情的になったりはしないが
初恋の人である朔良が絡むこととなると途端に心を乱し、優柔不断になりがち。
仕事人としては意欲的で優秀であり、若くしてSランク店の店長を任され、上司からは目をかけられ
部下たちからは慕われ、憧れられていたりと、経済的にも社会的にも充実した生活をおくっている。
手先が器用で、工作や創作行為が好き(昔は朔良に色々と手作りのプレゼントを贈っていた)
ヒロインは初恋の人の娘、理知的な副店長。
一番のお気に入りは主人公の頼れる一歳年上の同僚にして副店長を務める才女、和奏七緒。
長い栗色の髪を項の上で一つに束ね、眼鏡をかけた、利発そうな顔立ちの美人。
理知的な性格で、年下である主人公にもきちんと経緯を払うなど、正にできる大人の女性。
ただ、色恋には初心で奥手。当然恋愛経験はほとんどなく、主人公が初恋の相手。
評価はC。
アラサーになるまで初恋の人を引き摺り続けていた主人公は良く言えば一途、悪く言えば重い男。
社会人主人公にして珍しく、仕事面で充実しているし、傍には慕情を向けてくる美人同僚もいる。
客観的にはリア充なのに、満たされないものを抱え続けるその姿を贅沢者と断じてしまえばそこまでですが…
ルナと出会ってからはメンタルがグラつきっぱなしで気苦労の連続なのはご愁傷さまの一言でした。
一方、そんな彼の相手役であるルナについては正直なところ個人的にはマイナス面のほうが大きかった印象。
彼女の境遇を考えれば仕方ないのでしょうが、この娘、流石に自己中すぎで好感を抱きにくい。
いやまあ一回り以上年上の男を落とそうというのだからガンガン攻めないとダメというのはわかりますが
迷惑はかけないと言いつつ、悪気はないとはいえ主人公にリスクばかりを負わせるやり方はどうなんだと。
まあ、最終巻ではそこに言及がありましたが、主人公が全部飲み込む形で決着しちゃいましたし…
本筋は三巻完結と短めではあったものの、タイトルを上手く消化して綺麗に纏めた話に仕上がっていたかと。
まあ、不純愛ものとして見ると、健全すぎるというか、若干背徳感が足りなかった感はありますが。
あと、私は和奏さん派なので、かなりいいところまでいったのに結局敗北してしまったのは残念の一言。