迷探偵の条件   日向夏(MF文庫J)



それは殺人事件から始まる運命の出会い。学園ラブコメチックミステリー。
大枠としては探偵ものですね。設定として主人公に「探偵体質」と「女難」がありますが
探偵主人公が事件に巻き込まれるのと、ラブコメ主人公が女難なのはぶっちゃけ当たり前のような?
いやまあ設定としてそれが明言されているからこそ、強引な展開を思う存分繰り出せるのでしょうが。
肝心の探偵パートですが、これはタイトルにある「迷探偵」に反して、普通に名探偵しているというか
割としっかりとミステリーをしている印象。ただ、解決編のオチがスッキリしないケースが多いのが微妙。
もう片方の主軸であるラブコメパートにしても、女難=ヤンデレを引き寄せるであるがゆえに
主人公が女性恐怖症気味で、ラブコメの面白さがあるかと言えば首をひねるところなんですよね。
ラブコメ面は運命の女性が見つからないと死ぬ以上、悠長にしている暇はないわけですが、さて。

主人公はあと一年(十八歳になるまで)で運命の女性に出会わないと死んでしまう少年。
外を歩けば事件に遭遇する「探偵体質」とヤンデレばかり引き寄せる「女難」という厄介な宿命を抱えている。
小心者で押しに弱く、諦めが早い。その一方で、自分の保身のためならばいくらでもマメになるところも。
実際、過去に自分を襲ってきた女性たちをデータベース化し、近づくと危ない女子と距離をとったりしている。
また、女性の顔色ばかり窺って生きてきたため、女性の機微にはそれなりに鋭い
初めて会った人物に対して、勝手にあだ名を考える癖がある。
記憶力に優れており、特技は暗記だが、それが勉強に活かされることはあまりない。

ヒロインは男装女子な幼馴染、主人公嫌いな優等生、腐女子な先輩。
一巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。

現時点(一巻)においての評価はC。
最近探偵を題材にした作品が増えていますが、大体はファンタジー要素が強い「探偵…?」ものか
学園トラブルバスターみたいな、深刻さが薄くノリの軽いもののどちらかという感じだったので
超常の力がなく(主人公の体質はご都合主義の範囲内ということで)、学園が舞台なのに人が死ぬという
血生臭さには新鮮さがあります。ただ、ヤンデレラブコメとの噛み合わせはイマイチな気がしますが…
キャラに関しては、とにかく主人公が不憫すぎる。片方だけでも困る体質が両方共とか嫌すぎである。
人格的には常識人なだけに、よくぞ引きこもりにならなかったなと感心するほかないw
ヒロインはヤンデレだらけなだけに癖が強い面子揃いで、誰が運命の女性でも主人公の苦労は続きそう。
本筋は数々の事件に巻き込まれながらも、名推理で謎を解き明かしていく主人公ですが
肝心の自身の寿命は残り一年を切り、更には不穏な占いアプリの存在もあったりと前途多難。