僕たちはまだ恋を知らない   鶏卵うどん(MF文庫J)



北海道の原野で五人の女の子と密に暮らす密着閉鎖系ラブコメストーリー。
大枠としては共同生活ものですね。生活空間がアパートや寮、シェアハウスといったよく見るものではなく
火星への居住を目的とした長期滞在実験のために設置されたモジュールというのが特徴。
自分以外の五人は皆美少女と、一見すると羨ましいことこの上ない環境ではあるのですが
恋愛禁止というルールが設定されているため、主人公だけが損をしている形になっているのが可哀そう。
いやまあ彼自身がそれを気にしていない菩薩メンタルの持ち主なので問題はないのですが。
ラブコメ面は未だ恋愛にまでは至らずも、順調に好感度を上げている主人公ですが、さて。

主人公は北海道の原野に設置された第十八極地用モジュールの中で、六人の学生だけで
一年間共同生活をさせる実験に繰り上げ合格で参加することになった黒一点な高校生の少年。
基本的には真面目で温厚、お人よし性格をしており、どちらかといえばツッコミ型。
母一人子一人で苦労をかけ通しだったがゆえに母の望みを叶え、楽をさせるために実験に参加。
そして、皆の役に立ち、必要とされる、ここにいてもいいよと言われる人間になりたいと願っている。
趣味は特になし。特技は家事全般で、中でも掃除は得意中の得意。
選抜テストの際には、筆記面接ともに満点をとっていて、高い忍耐力と適応力が評価されていた。

ヒロインは天上天下唯我独尊娘、フリーダムガール、偽妹キャラメイド、鎌倉武士娘、寝まくりお姉さん。
一番のお気に入りはモジュール内ではシェフを担当する小さなメイドさん、栗鼠川千真。
黒くて長い髪をツインテールに結んでいる、ちょっとだけ垂れた瞳が愛くるしい小動物系美少女。
気遣いができ、他者に優しい天使のような性格だが、時々小悪魔に変わることも。
祖母がやっていた定食屋の手伝いをしていたため、料理のレパートリーは百以上ある。
小さい頃から歌が好きで、中学では合唱部だった。実はマイナーVチャネラー(Vチューバー)の中の人。

現時点(一巻)においての評価はC。
閉鎖空間での共同生活、と書くと閉塞感からくる息苦しさを覚えてしまいそうなものですが…
登場キャラの大半は割と気楽な姿勢で実験に臨んでいるようですし、規則自体も結構ゆるゆる。
主人公はヒロインたちに振り回されてばかりですが、その実結構上手く立ち回っていますし
ドタバタこそしてはいるものの、なんだかんだで上手く共同生活をおくる六人の姿は見ていて楽しい。
ただ、どいつもこいつも癖が強すぎて、重要な実験のための人選としては間違ってる感が凄いですが。
本筋は騒動の後、正式にキャプテンが決まり、第一の課題もクリアした主人公たちですが
恋愛禁止ルールの解除、上層部の思惑、ヒロインたちの内心など、まだまだ騒動の種は尽きなさそう。