会話もしない連れ子の義妹が、長年一緒に
バカやってきたネトゲのフレだった
        雲雀湯(ダッシュエックス文庫)



美少女と一つ屋根の下。青春真っ盛りの男子高校生がおくる、ほのぼのラブコメストーリー。
ファンタジー要素はおろか、非現実的なトンデモな展開やイベントもない正統派の青春物語です。
メインヒロインである平折との関係も、本編開始時点で五年も一緒に暮らしているのに壁があったりと
状況がリアルっぽいのが逆に珍しい。義妹というと大抵はブラコンか、反対に塩対応なのがお約束ですし。
まあ、実は義妹の正体がネトゲ内での大親友だった、というのはご都合主義極まりない偶然ではありますが。
それと、人間関係を進めていく上でネトゲが重要な役割を果たしているのも面白い。
ラブコメ面はダブルヒロインに挟まれた三角関係で進んでいくようですが、さて。

主人公は五年前に父親が再婚し、同じ高校に通う同い年の義妹・平折と一緒に暮らしている高校二年生の少年。
色々と無頓着で、身だしなみも必要最低限。愛想もあまりよくなく、喋る言葉もどこかぶっきらぼう。
ただ、根は熱い性格なのか、大切な存在が傷つけられると激情に駆られがちなところも。

ヒロインは引っ込み思案な義妹、猫かぶりな優等生、明朗快活なモデルJK。
一番のお気に入りはネトゲで仲が良くなった大親友の正体にして一緒に暮らしている義妹、倉井平折。
艶のある濡羽色の長い黒髪、どこか幼さの残る顔の大人しそうな雰囲気の美少女。
学校では主人公の義妹とは知られておらず、オフ会で対面するまでは彼とは壁があって打ち解けられずにいた。
真面目で大人しい性格をしており、色々と我慢しがち。無口で口下手、恥ずかしがり屋で引っ込み思案。
また、ドジでどこか抜けていたりと目が離せないタイプだが、意外に頑固で意固地、頑張り屋なところも。
ゲーム内ではいつもフェチ気味な濃ゆい会話を繰り出すおっさん臭いキャラを演じている。

現時点(二巻)においての評価はC。
妹属性持ちの読者としては断固として平折の可愛らしさを推さざるをえない。
大人しくて人見知り、けれど勇気を出して変わっていこうと頑張る女の子が義理の妹とか最高すぎる。
義兄である主人公を異性として意識しているところとかも控え目に言って萌えまくりなんですが。
対抗馬ポジションのヒロインである凛も、主人公の前で見せている素の姿が活き活きしていてグッド。
そんな二人を支えつつも、自分も変わろうともがく主人公にも好感が持てますしね。
本筋は主人公とヒロインたちとの過去、そして家族問題に一段落がつきましたが、さて。