聖剣使いの最強魔王 春日部タケル(富士見ファンタジア文庫)
魔王が聖剣で世界を制す、掟破りのバトルファンタジーストーリー。
大枠としては勇者と魔王ものですね。と言ってもこの作品の場合は主人公が両方を担っているわけですが。
面白いのは主人公のキャラですね。魔王が平和主義者というのは特に珍しくもないキャラ付けですが
見た目や口調は普通に悪人(チンピラ)風、なのに中身は勇者らしいというギャップが目を惹きます。
味方には甘いけれども悪は許さず、人間も魔族も区別なく腐った存在ならばぶっ飛ばす姿は爽快感抜群。
ラブコメ面は今のところ進展なし。メインヒロインのフラウディアのフラグは立っているようですが…
主人公は対立する弟の裏切りに遭い、卑劣な罠と策略によって殺される直前に人間界に召喚され
魔王だと気付かれないまま、長い間誰も抜くことの出来なかった聖剣と適合してしまった異端の魔王。
魔王としては歴代最強の力を持ちながらも、他人には甘く仲間想いで平和的で、人間との和平を望んでいる。
口調は粗野だが、裏表がなく、自分の心に正直で思ったことをそのまま口にするタイプ。
また、どんなに無様であろうとも、最後まで逆転の可能性を模索しながら足掻く気質の持ち主。
力量に疑いはなく、頭も悪くないものの、油断や運の悪さゆえに三下言動をとることもしばしば。
ヒロインはおっちょこちょいな王女、楽天的なJK勇者。昇格候補にマイペースな侍娘。
一巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。
現時点(一巻)においての評価はC。
許せないものは許せない、守りたいものは守る。その生き様はある意味魔王らしい唯我独尊でありながらも
その性根が善にして正義であるがゆえに見ていて気持ちが良い主人公が実に魅力的。
そんな彼の脇を固めるメインヒロイン・フラウディアのドジ&ツッコミ役っぷりやもう一人の勇者である
召喚された異世界人ヨーコの陽キャ感全開な存在感を前面に出している和気藹々とした掛け合いも楽しいです。
ただ、作者さんお馴染みの作風にして味である、コミカルとシリアスの落差が悪い意味で目立っているというか
ファンタジー世界が舞台であるがゆえの明確な悪や重い背景の存在を考えると、はっちゃけすぎな感も。
本筋は現魔王(主人公の弟)を倒し、人間との和平を結ぶという目的に向かって前に進んでいく。
という流れで進行していくようですが、魔族以外にも懸念材料(勇者や聖剣)があったりと前途は多難。