無自覚チートの箱入りお嬢様、青春ラブコメで全力の忖度をされる   紺野天龍(電撃文庫)



不思議な部活で天然素材なお嬢様を「アオハル」接待する、普通じゃない青春ラブコメストーリー。
大枠としては特殊部活動ものですね。よくあるドタバタ学園青春ラブコメなのかと思いきや
メインヒロインが無自覚に世界に影響を与える力を持っていたり、仲間たちがただの一般人ではなかったりと
かなり「涼宮ハルヒシリーズ」と被っている設定になっているのが印象的です。
とはいえ、作中では何度も世界が滅びかけたりしますがそれを回避するための手段として「青春ラブコメ」が
前面に押し出されていることもあって恋愛&コミカル要素が濃いですし、差別化はできているかと。
ラブコメ面は設定上の都合+お互いへの好意と、メインヒロインの天津風撫子が圧倒的に優位ですが
他ヒロインにもフラグが立ったり虎視眈々だったりと未来は不確定の可能性もあるようで…?

主人公は不運に不運を重ねた人生を歩み、まっとうな青春を諦めていたが、変人のお嬢様・天津風撫子との
衝撃的な出会いを切欠に、世界の命運をかけて不思議な部活ライフをおくることになってしまった少年。
ことごとく不幸が降りかかる災難体質の持ち主で、撫子を出会うまでは灰色の青春生活をおくっていた。
これまで数多の不幸に遭遇してきたがゆえに他者の奇行や理不尽な出来事に対する許容量が大きいが
その一方で、悲観的で自己評価が低い。また、悪目立ちを好まず、平穏を望んでいる。

ヒロインは幸運体質なお嬢様、世話焼きな委員長、マドンナな先輩、男装の親友。
一番のお気に入りは面倒見の良さから「ママ委員長」と呼ばれているクラス委員長、加賀美美玖。
柔らかそうな栗色の猫っ毛と、小学生と見紛うくらい小さい身体が特徴の美少女。
世話焼きで面倒見の良い性格をしておりコミュ力も抜群なのだが、耳年増で結構頭のネジが外れている面も。
その正体は二十年後の未来からやってきた、ナノマシンと機械を融合させたサイボーグ。

現時点(二巻)においての評価はC。
話自体は背景が壮大でありながらも中身はコミカルだったり、オチが秀逸だったりと結構読みやすいのですが…
設定の都合上、主人公とメインヒロインである天津風撫子のカップリングがほぼ鉄板なのが少々残念なところ。
これはキャラの好み云々ではなく、この二人が最終的に結ばれるという結論ありきで話が構成されているから
読者視点だと他ヒロインは事実上ノーチャンスだと認識した上で読み進めないといけないですからね。
キャラに関しては、イザという場面での主人公の肝の据わり具合と根性、機転の利きっぷりが格好良い。
神に愛されたメインヒロインの天津風撫子の自由奔放さや部活仲間たちの裏設定もインパクト抜群でグッド。
本筋は宇宙存続を懸けた波乱の林間学校を乗り切り、夏本番へ。