モブしか勝たん! 広ノ祥人(MF文庫J)
今と未来の変化が鍵となる、ギャップかわいい学園ラブコメストーリー。
VRアプリケーションで見た夢は予知夢だった。そこで見た未来の嫁はいったい誰なのか?
主人公と嫁が仲良くなった切欠となる廃校騒動を通して、未来で結ばれることになる嫁を探し出そう。
というのがこの話の主旨となるわけですが、主人公だけではなく嫁候補である二人の少女までもが
学校では人気者とはほど遠く、グループの隅っこにいるようなクラスの脇役キャラ、つまりはモブというのが珍しい。
この手の話だとヒロイン側は高嶺の花というのがお約束ですしね。まあビジュアルは十分美少女ですが。
ラブコメ面は未来の嫁候補二人にフラグが無事立ったものの、候補はまだ他にもいるようで…?
主人公は未来の結婚相手となる少女を探すために、廃校反対活動を頑張ることになった高校生の少年。
クラスでのポジションはラブコメものによくいがちな年中発情系三枚目友人キャラ。主体性も薄い。
その一方で、本気で頑張ると決めたことにはとことん突っ走れる思い切りの良さの持ち主。
一度別のことを考えこむとそっちに意識を持っていかれがちになってしまう癖がある。
好みのタイプは小悪魔ギャルと清楚系クーデレ(気の強そうな人が好きな人にだけ見せる甘えたがりな一面が好き)
ヒロインは不愛想な級友、ミーハーな級友、クールな生徒会長。
一番のお気に入りは。あまり目立たず、いつも一人でいるクラスメイトにして理事長の孫娘、華風院陽彩。
目にかかるかどうかくらいまで伸ばした前髪+ボブカットの素朴な美少女。
クラスでは周囲に無関心、どこのコミュニティにも属さず、暇そうにスマホをぼーっと弄っているだけと
身に纏う雰囲気は大人しめで地味。常に何事にも動じず、不愛想で抑揚のない淡々とした口調で話すが
その内容は毒舌であったり減らず口を叩いたりで、更には根に持つタイプであったりと中身は曲者。
デザインセンスに優れている。
現時点(一巻)においての評価はC。
タイトル通り、主人公ではない存在、すなわちモブという存在に焦点が当てられている話ですね。
と言っても彼と彼女たちは物語の主役に据えられている時点で既にモブではなくて主人公なわけですが
それはあくまで読者視点の話であり、作中において彼らは幾度もモブの現実を突きつけられてしまうわけで。
しかしそれでも、主人公特有のご都合主義が起きることがない世界で「だけど諦めたくない!」と
等身大の努力でひたむきに足掻く姿は尊く、好感を抱けますし応援したくなる魅力に溢れています。
予知夢を有効利用し、未来で情報を集め、それを現在に活かすという手法もわかりやすく王道でグッド。
しかしヒロイン二人とも、未来の嫁とは別人にしか見えませんが、未来で何があったのだろうか…
本筋は主人公の幸せな未来のための鍵となる廃校問題をひとまずは保留にまで盛り返し、一件落着。
……かと思いきや、予知夢に登場した未来嫁の姿がやんちゃ嫁→清楚嫁へと変化してしまい?