バロックナイト   葉村哲(MF文庫J)



剣哮と弾丸が交差する、アンノウンバトルアクション。
分類的には異能バトルものでしょうか。まあ、一巻から早くも色々と絶望感が漂ってますが。
はっちゃけたヒロインたちとのラブコメと、厨二病全開の設定。この辺は流石葉村哲氏らしい作品かなぁと。
良く言えば作風が安定しているといえますが、悪く言えばマンネリ化しているみたいな。
ラブコメ面は単独ハーレム状態という、矛盾しつつもそうとしか表現できない感じになっていますが…?

主人公は告白されたと同時に戦いという名のゲームに身を投じることになった少年。
普段はクールぶっているが、実際はただのコミュ症のぼっち野郎であり、踏み込まれるとすぐにボロを出す。
基本的に素直ではなく、格好つけで照れ屋。要するに残念なツンデレ。
また、バレてないつもりで覗いて、その実ガン見しているとバレバレなタイプのムッツリスケベでもある。
この手の巻き込まれ型主人公にしては察しが良く、理解力も高い。
実は物語開始時点で色々な記憶を失っており、また自身も周囲から記憶されていない。
記憶を失う前は高潔で信念のために死ねる、人の道を外れたタイプの人格だった模様。

ヒロインはヤンデレ自称嫁、ヤンデレ元恋人、ヤンデレ妹、ヤンデレクール系剣士。
皆ヤンデレである、救いようがないな!
一番のお気に入りは銀髪ツーテールな転校生、バロック。
スタイルはあまりよくないものの、学力が高かったり、学習能力に優れていたりとスペックは凄い。
特に、料理初挑戦というメシマズフラグを立てておきながら、普通にまともな料理を作るあたりが半端ない。
あけすけかつ明るい性格で、愛情表現に躊躇の二文字はないという押せ押せキャラ。
それはもはや、ことあるごとに自分を主人公の嫁と公言してはばからないレベル。
が、受け身にまわると弱かったり、意外に純情で貞操観念が固かったりもする。プリンシェイクが好き。

評価はD。
同作者の他作品にもいえることですが、基本作者さんワールド全開過ぎなのが難点ですね。
読み手を置いてきぼり&突っ走りすぎというか。特にこの作品は芝居がかり感が強すぎますし。
ぶっちゃけ終盤は全く話についていけませんでした。何が起きているのかサッパリでしたし。
いやまあヒロインのキャラ付けと、ラブコメ描写は相変わらず素晴らしいんですけどね。
それだけに物語の核である部分の描写が飲み込みにくいのがキツイ。
今作は主人公が結構個性的というか我を出すタイプなので、読みやすくはなっているのですが。
四巻完結かと思っていたら、まだ続く模様? あとがきでは判断できないんですがどうなんだろう。