グッバイ現実世界 電波ちゃん∞(HJ文庫)
ハッキング能力で異世界を最速攻略する、世界の謎を解くための冒険物語。
大枠としては集団での異世界転移ものですね。主人公と関わりのない人間が多く転移していますが
異世界での死=現実世界での死が濃厚と、事実上のデスゲームであり、当然作中では犠牲がでまくります。
転移先はゲームに似た世界であるためなのか、プログラミング技術が有効に活用できるため
プログラム言語に精通している主人公にアドバンテージがある、という強さの理由付けはわかりやすい。
ファンタジー世界なのに、電脳的な要素が目立っているというギャップも目を惹きますし。
ただまあ、プログラミング知識がサッパリな読者だと、読みにくい部分があるのも確かなのですが。
ラブコメ面は今のところ進展なし。
主人公は最新機器を使って幼馴染のミカにVR世界の案内をすることになるも、突然異変が起こり
元の世界変える手段を失ってしまったため、世界の謎を解くための冒険に旅立つことになった青年。
リアルの世界では浪人生をしているが、VRガチ勢であり、プログラム言語に詳しい。
知的好奇心が強く、それを満たすための行動力も伴っているが、それゆえの危うさが見えるところも。
肩書きで他者を差別しない懐の広さ、誰かを見捨てたりしない優しさの持ち主だが、友人は少ない。
ヒロインは勝気な歌手、人見知りな幼馴染。
一番のお気に入りは大ヒット中の「アストラルHMD」に興味を持ち、三年ぶりに主人公に連絡をとった幼馴染、ミカ。
長い睫毛と透き通るように白い肌が目立つ、ショートカットの美少女(元の世界では美少年)
人見知りで臆病な性格だが、健気で献身的。意外に頑固で一度やると決めたらやり遂げないと済まない性質。
元の世界では身体は男でありながら心は女な男の娘であり、子供の頃から本当の女の子になりたいと願っていた。
それゆえにいじめられてばかりいた自分を助けてくれた主人公が救世主であり、初恋の人。
絵を描くのが得意であり、それがバーチャルの世界で活かされることに。
現時点(一巻)においての評価はC。
転移させられた人間が多数である以上当たり前のことですが、各人の転移に対するスタンスの違いが興味深い。
現実世界に帰りたい者、異世界で生きていきたい者、友人を生き返らせたい者等々。
特にヒロイン二人の対比が際立っており、このモチベーションの差が後々に大きな影響になりそうなのが…
今のところ主人公は帰還希望派ですが、どちらのヒロインと結ばれるかで色々と変わってくるでしょうしね。
内容自体はゲーム異世界での冒険物語の王道風。歴史上の有名人の存在がほのめかされたりもしますが。
本筋は最初の戦闘で死した友人を救うため、そして現実世界に帰還するため冒険へと旅立つ主人公一行ですが
人類の敵であり、魔物を使役しているという「アルコーン」の存在など、不穏な要素も多く…?