才女のお世話   坂石遊作(HJ文庫)



ギャップ可愛いお嬢様との主従を越えて始まる恋物語。
一般庶民である主人公が任務のために身分を偽って富豪の子女たちが数多く在籍している名門学校に転入。
という、周囲の人間は上流階級だらけ(勿論ヒロイン候補は大多数がお嬢様)な身分の差ラブコメですね。
身分差から生ずる価値観のギャップが丁寧に、そしてコミカルに描かれているのが楽しいです。
いやまあ、主人公の置かれた状況を冷静に考えると、大変の一言では済まないレベルではあるのですが…
いくら美少女なお嬢様と一つ屋根の下で暮らせてお近づきになれるとしても、私なら無理。
ラブコメ面は今のところは色恋よりも自分のやりたいことを優先することにした主人公ですが、さて。

主人公は突如両親が夜逃げしたことで一文無しになってしまうも、日本随一の財閥のお嬢様・此花雛子の
学生証を拾ったことで誘拐に巻き込まれ、それが切欠で彼女のお世話係をすることになった少年。
直情的でお人よし、面倒見がよく真面目でひたむきな性格をしているが、自分の幸せを後回しにしがち。
苦学生であったがゆえに、勉学(大学に受かるため)や体力(肉体労働系のバイト経験)の能力は悪くない。

ヒロインはぐうたらお嬢様、雑魚メンタルお嬢様、勝気なお嬢様、世話焼きな幼馴染。
サブにムードメーカーなお嬢様、完璧メイド長、腹黒清楚系お嬢様なども。
一番のお気に入りは主人公が幼少期、少しの間居候をしていた家の娘にしてはとこ、都島成香。
太ももの辺りまで伸ばして結った黒髪、高い背丈にスレンダーな体形、目つきの鋭さが特徴的な美少女。
スポーツや武道など身体面は強いが、精神面は弱く、臆病でコミュニケーションが苦手な恥ずかしがり屋。
更には、家が武闘派ということもあり、周囲からは怖い人間であると誤解され恐れられている。

現時点(八巻)においての評価はC。
両親が夜逃げ→誘拐事件に巻き込まれる→日本随一の財閥のお嬢様のお世話係に→名門学院に転入。
こうして事実だけを端的に羅列すると主人公の人生がジェットコースター過ぎる…
しかしそんな境遇にもへこたれず、自分の生活を守るためだけではなく、雛子という一個人のために
勉強や護身術、マナーを身に着けるべく懸命に努力する姿には好感しか抱けません。
そんな彼の主人である雛子が見せてくれる公私における極端なギャップも可愛らしさ抜群ですし
彼らを囲む友人たちの、家柄で差別をしない良い意味でのフレンドリーさも見ていて気持ちが良い。
本筋はマネジメント・ゲームを終えて小休憩。そして生徒会選挙へ。