高嶺の花の今カノは、絶対元カノに負けたくないようです とーわ(角川スニーカー文庫)
優柔不断な少年を巡って勃発した元カノと今カノの激しく苛烈なヒロインレースストーリー。
大枠としては三角関係が主題になっているラブコメですね。三角関係ものは恋模様の決着=話が終わる
という都合上、どうしても主人公が優柔不断になってしまい、ヒロインの間でフラフラしてばかり。
それを見ていると読者はイライラが溜まってしまう、という構成上の欠点を抱えているもの。
実際当作品でも主人公の優柔不断っぷりが目立っているわけですが、彼の場合は一度好きになった相手には
尽くす性格という理由があるので、フラれたから元カノはもうどうでもいい、とはなれないわけで…
誠実だからこその優柔不断さゆえに、単純に悪であると責められないのが難しいところ。。
この作品は、このどうしようもない二律背反を楽しめるかどうかで評価が分かれると思われます。
ラブコメ面は今のところ今カノと主人公の関係を応援する元カノ、という構図で進んでいるようですが…
主人公は中学卒業と同時に朝谷霧と付き合い始めるも、高校入学と同時にフラれ、失恋。
その後、強引な部活勧誘に困っていた鷹音希を助けたことが切欠で彼女と距離を縮めることになった少年。
真面目で受け身、大人しくクラスでは目立たないが、一度好きになった相手にはとことん尽くす一途な性格で
それゆえに傷つきやすく繊細、それでいて痛みを我慢してしまうところがある。
元カノも今カノも高嶺の花であるがために、自分はただの一般人であるという認識が強く
人のことを悪く言わず、良く言えば謙虚だが、悪く言えば自虐的で考えすぎ、気を回し過ぎな面も。
また、困っている人を見過ごせない、誰かが悲しむ可能性を放置できないお人よしでもある。
中高と読書部所属ながら、部活動のない日は子供の頃から通っているジムで武道を教えてもらっている。
ヒロインは優等生な今カノ、芸能人な元カノ。サブには天真爛漫な後輩、ブラコンな姉なども。
一番のお気に入りは主人公の元カノである霧の前で今カノ宣言をしたクラスメイト、鷹音希。
背中に届く長さの髪、整いすぎた容姿、モデルのような長身、抜群のスタイルの大人びた美少女。
一見するとクールな雰囲気が近寄りがたく、成績は学年一位、運動も得意で容姿端麗、料理も問題なしと
非の打ち所のないスペックを有している優等生である上、考えていることをあまり表に出さないため
周囲からは少し距離を置かれているが、素は少々世間知らずでこそあるものの、真面目で素直な性格。
現時点(二巻)においての評価はC。
率直に主人公とヒロイン二人への感想を口にすると「こいつら全員面倒くせえ!」に尽きるんですよね。
今カノを大事にすべきとわかっていても元カノを気にしてしまう、自分の平凡さにコンプレックスを持つ主人公。
公私の狭間で苦しむがゆえに思わせぶりな態度ばかりをとってしまう霧。
自分と付き合っているのに、元カノである霧を気にしている主人公を非難せず、尊重する希。
全員が我儘になれず、それでいて葛藤を不要なものとして割り切ることもできない未熟なメンタル状態で
交流を続ける三人の青春模様がもうとにかく微笑ましくも絶妙にもどかしすぎて…
まあ、それだけ各キャラの心情描写が丁寧だということなのですが、この話どう落着させるんだろうか本当に。
キャラへの好感度抜きで判断するなら、今カノを最優先に大事にするのが当たり前なわけですし。
本筋は今カノと元カノが仲良くなり、三角関係でありながらも表面上は問題なさそうですが…?