世界最速のレベルアップ 八又ナガト(角川スニーカー文庫)
ルールに縛られない特別な存在となった青年が連続限界突破で全ての最強を凌駕する、世界最速の成長譚。
大枠としてはダンジョン攻略ものですね。数多のダンジョンが出現し、人類がレベルやステータス
そしてスキルという超常的な力を手に入れ、職業「冒険者」が存在するようになった現代地球が舞台となっています。
また、分類としてはこの物語は主人公最強ものでもあるわけですが、物語の開始時点から強かったわけでも
いきなり強大な力を手に入れるわけでもなく、成長速度こそ桁違いではあるものの段階を踏んで強くなる様が
しっかりと、それでいてテンポよく描かれているため、無双の爽快感が格別なものとなっています。
ラブコメ面は今のところ進展なし。ヒロイン二人のフラグはしっかりと立っているようですが…
主人公はユニークスキル「ダンジョン内転移」が覚醒し、世界で唯一ダンジョンのルールに縛られなくなった冒険者。
まっすぐな性格で、たとえ正しくなくても、愚かであっても自分の信念を貫き通せる心の強さの持ち主。
昔、外に出てきた魔物に襲われた時に冒険者に救われたことがあり、それ以来その背中と圧倒的な強さに憧れ
彼のように強くなり、大切なものを守ることができるような存在になりたいと強く思っている。
ヒロインはクールな剣士、心優しきヒーラー、最強の氷剣士。サブに世話好きな妹。
一番のお気に入りはユニークスキル「魔法剣」を持つ、三ヶ月で五百レベルを超えた有能な冒険者、黒崎零。
肩まですらりと伸びるセミロングヘアに、ぱっちりと開かれた目、白磁のように透明感のある肌を持つ美少女。
無表情がデフォルトで口調も淡々としており、人と話すことが得意ではないが、積極的なところもある。
趣味は漫画やアニメといったフィクションを楽しむこと(周囲には隠している)
その中でも特にかっこいいヒーローが活躍するようなファンタジー物を好んでおり
幼少期からそのような物語を読んでいるうちに、自分もヒーローになりたいと憧れるようになった。
現時点(三巻)においての評価はC。
無能として蔑まれていた底辺冒険者な主人公がスキルの覚醒を切欠に躍進し、最強へと駆け上がっていく。
と、この作品はいわゆる成り上がりの要素が濃いですが、主人公の持つスキルはレベルアップのための
時間の制約がなくなるだけであり、力を直接付与するものではないため、強くなるには努力と経験が必要。
なので敵との戦い自体は当然命懸けで、それでも己の夢のためにひたむきに走る主人公の姿が熱い。
逆境でも腐らず、使えないとされていたスキルの可能性に気づき、活かし、強くなろうとも慢心せず。
冒険物語の主人公としては非の打ち所がなく、応援したくなる魅力に溢れています。
まあ、スキルの都合でパーティが組めないため、仲間たちとの冒険が難しいのは残念なところですが。
ヒロインたちにしても、話が進めば進むほど実力差が広がる一方になるわけですし…
本筋は世界を支配せんとする異世界の巨悪を撃破することに成功するも、本当の地獄はこれから始まるらしく…?