時をかけて来た娘、増えました。   今慈ムジナ(ガガガ文庫)



未来の娘も参加した、時空や恋がみだれる少し不思議なラブコメディストーリー。
ある日突然未来から自分の子供がやってきた! SFネタでは定番の要素を主軸にしたこの物語ですが
これ、主人公の立場になって考えると混乱しないはずがないし、何よりも理不尽極まりない。
将来結ばれる相手を知ることになってしまうわけだから、相手次第で明暗が分かれてしまいますし。
この話の場合は好きな女の子がお相手ということで万々歳、かと思いきや別の相手が産んだ娘が登場。
と、未来で自分が浮気をしているかもしれないと知ってしまうわけで、私ならもう胃痛一直線の状況である。
ラブコメ面は未来の奥さん候補が二人ということで、このままいくと三角関係まったなしですが…

主人公はある日、自室に発生したワームホールから未来の娘が現れ混乱することになった高校二年生の少年。
中学時代、特別であることを意識しすぎて平凡から抜け出そうとするも、失敗を重ねまくった過去を持つ。
頑張ることが好きだが、気弱で押しに弱いヘタレな性格であり、上記の経験から自分に自信がない。
秀でたものは特になく、中性寄りな容姿がちょっとコンプレックス。
クラスメイトの安達藍に密かに想いを寄せているが、物語開始時では話しかけることすらできないでいる。

ヒロインは役者馬鹿なクラスメイト、引っ込み思案なクラスメイト、しっかり者な実娘、勝気な実娘。
一番のお気に入りは密かにVtuber活動をしているクラスメイト、小日向宇美。
肩にかかるほどの髪の、可憐な声が特徴的な巨乳美少女。
大人しく引っ込み思案な性格で、自分に自信がなく相手の顔色を窺いがちなところがあるが頑張り屋。

現時点(一巻)においての評価はC。
未来を変えるために主人公の前に子孫がやってきた、という出だしの場合、大きなところでは世界滅亡の危機。
小さなところでは身近な人の死、あるいは破滅といった悲劇を回避するため、というのが物語の目標として
置かれているものですが、この話には回避するべき未来が存在していないため深刻な展開はありません。
むしろ本来なら妻一筋になるはずの主人公の未来が狂わされて二股状態になっていますし…
というか、肝心の時間移動という要素自体がかなりふわっとしていてご都合主義満載なんですよね。
キャラに関しては、ヘタレさが目立ちはするものの、真摯な一生懸命さが見て取れる主人公が好感触。
未来の嫁(予定)であるヒロイン二人と実娘二人も良い娘なので彼との交流にほっこりできます。
本筋は狂いかけた未来を上手く修正し、めでたしめでたしかと思いきや、三人目の娘が登場し?