転生で得たスキルがFランクだったが、前世で助けた動物たちが
神獣になって恩返しにきてくれた
                        虹元喜多朗(ガガガ文庫)



挫折続きだった少年が神獣の力を持ったもふもふ少女を使役して異世界最強への道を歩むもふもふハーレム譚。
大枠としては異世界転生ものですね。この手の話は主人公がチートスキルを得て異世界無双!
というのがお約束ですが、この作品の主人公が得たスキルは正真正銘のハズレ。
まあ、使役対象である動物が神獣という最強クラスの存在なので結局はチート無双ではあるのですが。
とはいえ、神獣たちが彼に喜んで従うのは前世の行いゆえなので、正に「情けは人のためならず」なわけで。
ラブコメ面はヒロインたちが主人公に好意(恋愛感情の有無は不明)全開な神獣ハーレム状態ですが、さて。

主人公は99.99%成功が約束された異世界転生で、最低Fランクの「使役」スキルが発現してしまった少年。
前世では中学受験の失敗を切欠に、その後何もかもが報われない挫折人生をおくっていたが
心優しい性格に加え、生き物が好きだったこと、自分と重なったことから数多くの動物を保護していた。
努力家で、自分のような苦しみを味わっている人たちを助けられるようになりたいと頑張っている。

ヒロインは元気印な犬娘、おしとやかな猫娘、無口マイペースな鳥娘、気弱な蛇娘。
サブに元オタな転生者やおっとり予言者なども。
一番のお気に入りは主人公が前世で飢え死にしそうになっていたところを助けた白猫が転生した白虎、ミア。
エメラルドの瞳、処女雪のように白い長髪、そして整った細面の中背スレンダー美少女。
献身的で大人っぽくお淑やかなお姉さん的性格で、刀を使った近接戦闘が得意。

現時点(三巻)においての評価はC。
努力に裏切られ不遇の人生を歩み続け最後は事故死、と報われるべきなのに報われなさすぎだった人間が
転生した世界で報われる。しかも前世の行いが福となって、という構成が実に気持ちいい。
いや本当、この主人公が報われないのならば他作品の主人公はどれだけ幸運の女神に愛されているのか。
と、言いたくなりますし、主人公に好感を持てるという要素がいかに大事なのかがわかるというもの。
だからこそ、勝利を手繰り寄せる瞬間が何よりも輝き、何物にも代えがたい爽快感となるわけですな。
まあ、人型にもなれるとはいえ、前世のペットがヒロインというのは複雑かもですが。
本筋は魔王に次ぐ力を持つ七体のモンスター「魔公」の三体目を撃破した主人公一行。