魔法学園の大罪魔術師   立花(モンスター文庫)



魔法を超える力を編み出した、魔法が使えない少年の学園ファンタジーストーリー。
魔法というものが浸透している世界観の中、魔法が使えないがゆえに息苦しさを感じていた主人公。
そんな彼が魔法とは違う、世界で唯一彼のみが使うことができる力「魔術」を編み出し
魔法学園を舞台に活躍を繰り広げる。という成り上がり系要素が強いタイプの作品ですね。
主人公の魔術は七つの大罪がモチーフになっているという点が実に厨二心をくすぐってくれます。
ただ、制約が大きい上に、彼自身が未熟であるために最強感はあまりないです。
ラブコメ面は主人公の一番がメインヒロインのセシリアであることは揺るがない様子ですが
一夫多妻に問題なしな世界観である以上、ハーレムエンドに期待したいところ。

主人公は魔法ではない大罪の魔術を極めた辺境領主(子爵)の息子。
容姿は普通。長めに切り揃えた白髪と赤い双眸が外見上の特徴。
小心者で軽薄、そして自分の要望に素直な性格で、正義感や王族への忠誠心も然程高くはなく
誰も彼も助けようというお人よしでもないが、知るところで困っている人を助けないほど薄情でもない。
また、貴族の生まれではあるも「無能」であることもあってか、えらぶったところがない。
色恋には年齢相応に興味があり、娼館も経験済み(というかハマっている)。

ヒロインは純粋無垢な聖女、勝気な幼馴染、聡明な王女、純朴なエルフ、ハーフ吸血鬼な師匠。
一番のお気に入りは主人公のクラスメイトにしてラピズリー王国の第三王女、ティナ・ラピズリー。
肩口まで切り揃えた銀髪に整った顔立ち、お淑やかな雰囲気と王族らしい威厳を有する美少女。
聡明かつ責任感の強い性格で、己の危機にも怯えず立ち向かえる心の強さの持ち主。
か弱げな容貌に反し、魔法士としての実力は学年トップクラスが集まるSクラスでも群を抜いている。

現時点(二巻)においての評価はC。
世界に浸透している力を使えないがゆえに無能と蔑まれている主人公が固有の力で周囲を見返していく。
という、理不尽を持って理不尽を跳ね返していく話になっているため、読み味はスッキリしています。
キャラに関しては、己の未熟さを自覚し、それでも大切なものを守るために戦う主人公の姿が熱い。
そんな彼の周囲を彩るヒロインたちや友人も良い人間揃いで気持ちが良いですしね。
本筋は魔族の大規模襲撃を凌ぎ切り名声をあげる主人公ですが、すぐさま次なる悪が動き出し…?