追放魔術教官の後宮ハーレム生活   琴平稜(富士見ファンタジア文庫)



最強になった青年と、彼を慕う姫たちの快進撃&ハーレム後宮ライフストーリー。
大枠としては異世界召喚&教官&追放もの。スキルがゴミだと判断されて主人公は追放されてしまうも
実は最強のスキルだったので大活躍! という、わかりやすいお約束感全開の成り上がり物語になっています。
というか、そもそも追放先が色とりどりの美少女たちが集まっている後宮という時点で勝ち組ですし
追放した側(勇者&王女)があからさまな小物であるため追放という字面ほどの不幸要素はありません。
ラストは魔王との世界を賭けた決戦に勝利し、世界を救った勇者と少女たちは新たな旅路へエンド。
ラブコメ的には後宮の少女たち(侍女宮女を含めて四百人)を愛し愛されなハーレム状態で終了。

主人公は異世界に召喚されたものの、ハズレ認定をされて掃きだめと呼ばれる後宮に追放されてしまった青年。
魔力回路を目視、調整できる最強スキル「魔力錬成」を持っており、魔術教官として後宮を教え導くことに。
究極のたらい回され体質で、幼い頃に天涯孤独になってからは養護施設に保護され、親戚の家に引き取られを
繰り返し、就職してからは様々な理由(倒産、左遷、濡れ衣など)で数知れず転職する羽目になっていた。
物腰穏やかで温厚、謙虚でお人よしな性格をしており、前の世界では誰にも必要とされないまま
ただ日々を消費していたがゆえに自身を必要としてくれる者に対しては誠実で献身的。

ヒロインは心優しき令嬢、元気印な商人娘、策略家な令嬢、ミステリアスな騎馬の民、頭脳明晰な令嬢。
サブにマスコット的存在な令嬢、人懐っこい先代勇者、猫耳先代聖女、初心な天馬娘なども。
一番のお気に入りは後宮の一員にして辺境伯のご令嬢である神姫、フェリス・アルシェール。
絹のような長い金髪に翡翠色の瞳、ほっそりした体躯と、月の女神を思わせる気高い相貌の美少女。
優れた魔術士を数多く輩出している魔術の名門出身でありながら病弱ゆえに魔術が使えず
それが原因で華やかさとちょっと落ち込み易く、繊細で傷つきやすい臆病な性格が同居している。
頭脳明晰な勉強家で、普段は部屋に籠って本を読んだり、勉強をしていることが多い。
好きなスポーツは乗馬と剣舞。

評価はC。
訳ありなヒロインたちを己のスキルを活用して教え導いていく、という教官要素がメインになっています。
主人公がアラサーで落ち着きがあるため包容力と安定感は抜群。
ヒロイン側にも敵視してくるキャラがいない、というか全員が好感度高めスタートなのでストレスフリー。
報われるべき人間が報われ、そうでない人間には罰が下るという勧善懲悪な作風も気持ちが良い。
本筋は世界から弾かれ続けた勇者が、深い愛情と信頼を以って少女たちに迎えられ
彼女たちの居場所となるという愛と救済の物語がしっかりと、そして美しく描かれていたと思います。
ただ、最終巻の全ての絆を結集しての決戦に関しては、やはり三巻完結ではスケールの大きさに対して
積み重ねが足りず、駆け足気味だったこともあって額面通りほどの盛り上がりにはなっていなかった印象。