異世界道楽に飽きたら 三文烏札矢(ヒーロー文庫)
冴えない三十男が、三匹の子猫をお供に異世界でおくる自由気ままな道楽劇。
大枠としては異世界転移ものですね。舞台となる異世界にはレベルやスキル、魔法の概念があり
異種族や魔族が存在していてモンスターを倒すとアイテムがドロップするなどゲーム性が濃いです。
当然人類に敵対する最大の脅威である魔王もいるわけですが、主人公は討伐する気なし。
ただ、自分の欲望の赴くがままに、異世界で手に入れた高い戦闘力、利便性の高い魔法やアイテム。
それらを使って異世界人を無自覚に振り回したり救済したりが話のメインになっています。
ラブコメ面は主人公が結婚する気がないため、真面目な恋愛展開は今のところなし。
後腐れない相手で女遊びはしていますし、お金と契約で結ばれた愛人などはいるのですが…
主人公は会社からの帰宅途中、地球とは異なる世界に迷い込んでしまった中年(三十一歳)おっさん。
誰かの役に立ちたいと考えたことすらなく、自分の欲望を叶えるためならば他者を利用することも厭わないなど
利己的な性格であり性根は決して善人ではないが、女性には優しく、気まぐれに手を差し伸べることも。
基本的に飽きっぽくこらえ性がない気分屋で、座右の銘は「塞翁が馬」
異世界に転移して早い段階で高い戦闘力や便利な魔法やアイテムを手にし、余裕を得てしまったためか
情報収集やリスク計算の大事さは理解してはいるものの、楽観的で大雑把な判断することが多い。
ヒロイン(という名のレギュラー)は魔人三人娘、残念クールメイド、好奇心旺盛なお嬢様、男装勤労娘。
サブに苦労性な氷の魔人、おどおど系人形作り娘、愛人姉妹、姉御肌な冒険者、おっとり系冒険者。
メンヘラ料理奴隷、兎姉妹奴隷、受付嬢&冒険者な姉妹なども。
一番のお気に入りは冒険者中心の街オクサードの領主の娘ソマリの専属護衛兼メイド、エレレ。
肩の上の長さのストレートの黒髪に黒目、色白の肌、冷やかさを感じさせる端麗な顔立ちの美人。
澄ました無表情がスタンダードで、冷淡にして非情、あけすけな性格だが、お茶目で天然なところもあり
また、甘味が絡むと異常な情熱を発揮したり、行き遅れを気にしていたりと残念な一面も。
戦闘の腕は街の中でもトップクラスで、特に斥候を得意としており二つ名は「三十の悪魔」
現時点(七巻)においての評価はC。
間違っても徳の高い善人とは言えないが、救いようのない悪人であるとも断言しにくい人間臭さ。
そんなリアル感の濃い駄目大人キャラなおっさん(この手の作品には珍しく挿絵もちゃんとおっさん)主人公が
気ままに行動することで、人生レベルで良くも悪くも大きな影響を受けていく異世界人たちの悲喜交々模様が
ある種の勘違いものに通じていて面白い。客観的には主人公はただのクズ予備軍なだけなんですけどね。
まあ、それでも本来なら救われないはずの人間が救われることも多いですし、結果良ければすべてよし?
本筋はひょんなことから冒険者として活動することになった主人公ですが…?