剣帝学院の魔眼賢者   ツカサ(講談社ラノベ文庫)



誰よりも大切な師匠のため、千年の時を超えた最後の賢者である少年の無双ファンタジーストーリー。
大枠としてはタイムワープもの。この作品の場合は時間凍結による千年後への時間移動となっています。
千年後の世界では魔術の存在そのものが忘れ去られていて、それゆえに最強クラスの魔術師である
主人公には他者に対し圧倒的なアドバンテージがある、という最強ものの理屈としてわかりやすい設定。
とはいえ、いくら魔術が存在しないとはいえ、魔術を剣技と誤解するのはかなり無理がある気もw
まあ、人類の主武装である聖霊剣は特殊能力ありなので、ある程度の誤魔化しは利くのでしょうが。
ラブコメ面は今のところ主人公の心は師匠であるリンネに向けられているようですが…

主人公は千年後の世界を救うため、そして師匠の願いをかなえるため未来の世界へと送られた
人類史において六人目にして最後の万能到達者「賢者」である十五歳の少年。
思慮深く理知的とクールな性格だが、敬うのは師匠ただ一人としているため、それ以外には基本不遜。
また、師リンネのためであればどんな無茶や苦労も厭わないところがあったりと情が深い。
賢者になるための勉強ばかりだったことからコミュニケーションが得意ではなく、異性にも不慣れ。特技は暗算。

ヒロインは健気一途な級友、勝気な級友、お嬢様な級友、凛々しき最強聖騎士。
昇格候補に自称娘な聖霊、フランクな聖騎士なども。
一番のお気に入りは主人公と同じ天牛隊に所属する同級生、リサ・フリージア。
目鼻立ちがはっきりとした、勝気な印象の顔立ちの銀髪美少女。
面倒見がよく、ハッキリと物事を言う姉御肌だが、急がば回れができなかったりとうっかり屋なところも。
実家が商いをしていることもあってか特技は目利きと値切りで、お金の事にはかなり細かい。
また、友情にとても厚く、親友のクラウのためであれば己の身を差し出すこともためらわないほど。

現時点(二巻)においての評価はC。
主人公一人が時間移動する話は、大体が過去と現代の違いに適応できず「あれ、俺やっちゃった?」と
意図せぬ騒動を起こしまくり、というのがお約束ですが、この作品の場合は主人公が思慮深いため
その手の展開は最小限、あるいは意識的にやっているので話のテンポがよいです。
間の抜けた部分が少ないがゆえに、無双ファンタジーの主役としての格好良さが引き立っていますし。
また、そんな彼と関わりを持っていくヒロインたちも皆ポテンシャル高めかつ華やか、そして能動的でグッド。
本筋は魔王を撃破し、更には新たなる魔神をも倒しひとまずの平和が訪れるも、まだまだ問題は山積みで…?