転校先の清楚可憐な美少女が、昔男子と思って一緒に遊んだ幼馴染だった件
                                                  雲雀湯(角川スニーカー文庫)



元「男友達」で現「美少女」な幼馴染との青春ラブコメストーリー。
昔一緒に遊んでいた幼馴染の少年が実は女の子であり、再会したら目を見張る美少女になっていた。
という、ラブコメでは見かける展開ではあれど、メインを張るのは珍しい設定が売りの話です。
この手の設定のヒロインは昔と百八十度変化、つまり完全に女の子らしくなっているというのが
よくあるパターンで、実際この作品の幼馴染ヒロインである二階堂春希も外見は清楚可憐なのですが
少し変わっているのはそれが擬態であり、素はほぼ昔のまま(一人称ボクのガキ大将)という点。
と言っても、女の子扱いされると真っ赤になって照れたりと、しっかりと乙女な部分も育っているので
余裕で萌え転がることができますし、他のキャラを含めて甘酸っぱい青春模様を楽しめるかと。
ラブコメ面は主人公も春希もお互い相手に対する意識が異性のものへと変わってきた様子ですが
そんな中、主人公は妹の友達である沙紀を特別な女の子として強く意識してしまい…?

主人公は月野瀬という田舎から都会の学校に転校してきた少年。
気質+田舎では習慣となっていたがゆえに、困っている人に手を差し伸べることが当たり前と考えている。
転校するまで同年代の女子(男子も)の知り合いがほぼいなかったため、異性には不慣れで女心に疎い。
料理(お酒に合うような味付け)が得意で、毎日妹の分まで夕飯を作っている。
畑仕事で鍛えられていたことから身体能力は高いが、テクニックはなくフェイントにも弱い。
変わった石を集めることが好き。

ヒロインは元男友達な幼馴染、小動物系な園芸部員、温厚な妹の親友。
一番のお気に入りは田舎における主人公の妹・姫子の同級生にして親友、村尾沙紀。
整った顔立ち、日本人離れした色素の薄い肌、ふたつに結わえておさげにした亜麻色の髪の神秘的な美少女。
大人しく物静かで礼儀正しく、どこか気弱でのんびりとした、温厚そのものな性格。
主人公に恋をしているが、彼を前にすると姫子の陰に隠れてしまったりと様子が変になるため
仲はギクシャクしていた。また、彼のことを意識しすぎてメールの文章が固くなってしまうのが悩み。

現時点(七巻)においての評価はC。
これといった山場もスピード感もなく、全体的に地味さが否めないというのが正直なところではありますが
再会した幼馴染との関係性の変化が物語の核であるため、それが良いほうに作用している印象。
あと、何気に飯テロ要素が濃いことに意表をつかれました。料理のシーンを読んでいるとお腹が鳴る…
キャラに関してはやはりメインヒロインである二階堂春希の絶妙な可愛らしさがインパクト大ですね。
普段は男の子を感じさせる面が強い彼女が見せる女の子らしさ、というギャップは破壊力抜群です。
そんな彼女の魅力を目にするたびにドギマギする主人公の初心な反応も実に良い。気持ちはよくわかる。
本筋は各人がそれぞれの想いで葛藤する中、次巻文化祭。