∞射程魔術使いの俺は、やがて学園の頂点へ   小路燦(角川スニーカー文庫)



すべての常識を射程外からねじ伏せる破格の学園ファンタジーストーリー。
最も強い攻撃とは何か? 最強の剣による一振り? 全てを消し飛ばす極大魔法? 毒による暗殺?
否、敵の攻撃が届かない、認識されないアウトレンジからの一方的な攻撃こそが一番! 何より安全で楽!
そんな規格外にして理不尽な長距離射程魔術を使う主人公が勇者育成学園で無双する話です。
動かずに実力者を圧倒するどころか、ダンジョンに入ることすらなく攻略を完了するとか斬新すぎであるw
ラブコメ面は今のところ進展なし。立場的には幼馴染のレリアが優位に見えますが、さて。

主人公は魔界と人間界の境界であるルデス村の出身ながら、魔族に襲われる日常に嫌気がさし、村を飛び出し
勇者育成「クレシエンド学園」へと辿り着き入学することになった規格外の長距離射程魔術を扱う少年。
やる必要のないことはやらない。やりたいことも基本的にはやらない。やらなければならないことなら効率的に。
が信条で「平穏無事に楽に生きていたい」が夢。主に損得勘定で動き、情に絆されることは滅多になく
非情に面倒くさがりで適当な性格だが、楽をするための努力は惜しまない。
また、名声や名誉には全く興味がなく、自分のことを悪く言われたり嘲笑されることを全然気にしないが
裏表のない正直者であるため、思ったことはハッキリ言うし、他者にへりくだることもしなかったりする。

ヒロインはストイックな勇者の娘、マイペースな幼馴染、天真爛漫なチビっ娘先輩。
一番のお気に入りは主人公の後を追って学園に編入してきた防御魔術のスペシャリスト、レリア=アルハーツ。
艶のある短めの蒼髪に純白の二又のリボンを付けた、無表情だが一目見てわかる美少女。
五歳の時、魔族に襲われた際に自分を必死に庇ってくれた主人公のことを心底好いており、心酔している。
主人公以外のことは基本どうでもよいと思っており、彼が絡まないところではいつも無表情&淡々とした口調。

現時点(二巻)においての評価はC。
魔族を正面から正々堂々と打ち倒すのが勇者、という価値観が蔓延る学園で遠距離攻撃オンリーという
異端の戦闘方法の凄さと強さをこれでもかと見せつける主人公の姿が実に痛快。
近距離戦闘が苦手、という弱点がハッキリしているがゆえに彼のスタンスは理解しやすいですし
役割分担で自分にはできないことをやってくれる仲間が大事という理屈もわかりやすい。
主人公が規格外の実力者ならば仲間は必要ないのでは? みたいな安直な流れにならないのがいいですね。
本筋は再びの退学危機と魔族による襲撃を退け、名が知れ渡り始めた主人公ですが…?