恋人代行をはじめた俺、なぜか美少女の指名依頼が入ってくる
夏乃実(角川スニーカー文庫)
レンタル関係から始まる、焦れ甘なリアルラブストーリー。
タイトル通り、主人公がお金稼ぎのためにはじめた恋人代行サービスが話の核になっている作品ですが
お仕事もの感は薄め。そもそも仕事内容が依頼主からお金をもらって恋人役を務めるというものなので
いくつかのルールがあるとはいえ、仕事というよりはプライベート感のほうが結構強いわけで。
サービス中、偽りの関係とは言え主人公もヒロインも私情を排しているわけではないですし。
契約が前提だからこその大胆な言動、そして逆に踏み切れないもどかしさにはニヤニヤが止まりません。
ラストは恋人代行を辞め、姫乃と結ばれて(六年後子供もできている)ハッピーエンド。
主人公は高時給アルバイトを求めた結果、恋人代行サービスをはじめることになった金欠大学生の青年。
物腰穏やかで大人びた落ち着きがあり、気遣いもできてコミュ力も高く、お節介で面倒見のよい性格。
色恋に関しては、彼女が欲しいとは思っておらず、下心はないが異性を意識しないわけではない。
大学とプライベートでは外見を変えており、前者では地味目な、後者ではガチのイケメンだったりする。
聖人前に両親が他界しており、姉とずっと二人暮らしであるため家事能力が高い。
ヒロインは口下手な女子大生、陽気で甘えん坊なJK、有能会社員お姉さん。
一番のお気に入りは周囲に「恋人いらない」と言いつつも彼氏が欲しい大学一年生の後輩、柏木姫乃。
幼い顔、細い眉にかかった長さでぱっつんに切った銀髪、長い睫毛に紫色の大きな瞳の小柄美少女。
喋ること、表情に出すことが苦手ゆえに言葉が少なかったり笑顔を作れなかったりで不機嫌になっていると
思われがちだが、内心は感情豊かで、芯が強く健気で一生懸命な性格をしている。
彼氏に興味はあるが、過去に罰ゲーム告白をされたことが原因で誰とも付き合ったことがない。
周囲に隠しているが、実はPN「でびるちゃん」でラノベの絵師も担当している有名なラブコメ漫画家。
好きなものは甘いもの(飲み物は黒糖ミルクタピオカ)、動物全般、可愛い服。
評価はC。
恋人代行という微妙な生々しさを感じる題材ですが、内容はラノベらしいラブコメに仕上がっていた印象。
まず、主人公がイケメンで気遣いができるなど、ほぼ欠点がなく、そりゃヒロインたちも惚れてしまうわ。
と、納得できるだけの魅力を持っていましたし、そんな彼のお客となるヒロインたちにしても
男に飢えている単純な残念娘といったこともなく、それぞれの事情や価値観がしっかりしており
普通に女性としての可愛らしさに溢れ、見ていてほっこりと萌えられるのがグッドでした。
本筋は主人公が色々考慮した末に恋人代行を辞めて一人のヒロインを選ぶ、という形で完結したわけですが
三巻という巻数ではあらゆる面で積み重ねが明らかに足りなかった、というのが正直な感想。
特に、選ばれなかったヒロインたちに関しては、土俵にすら上がれずに終了だったので、何しに出てきた感が…
話自体は綺麗に纏めてあるとは思いますが、逆を言えば纏まっているだけだったわけで。