アブソリュート・デュオ   柊★たくみ(MF文庫J)



魂を武器へと具現化して戦う少年少女たちの学園バトルアクション&ラブコメ。
異能力バトルものながら、できるのは身体強化と武器具現化のみというシンプルさがいいですね。
ただ、能力者の強さにハッタリが効いてないというか、敵側が科学、獣化、異能、魔術と何でもありだからなぁ。
まあ、レベルアップで必殺技が付与されたりと、巻が進めばある程度はマシになるのですが…
目的が復讐、各組織はヤバくて黒い、味方上層部も怪しい、と軸に明るい要素がないのも不安点ですし。
日常パートは良い感じのハーレムラブコメになっているので、そこは救いなのですが…
そのラブコメ面もいよいよ主人公の本命が確定し、次巻あたりから他ヒロインの虐殺イベントが多発しそうな予感。

主人公は大切な人たちを殺されたことから、復讐のために力を求める少年。
幼い頃から武術を習っており、素でもかなりの強さと体力を持っている。でも頭を使うのは苦手。
面倒見がよく、多人数が集まる道場で過ごしていたことからコミュ能力は高い。
また、思春期の少年らしく、女の子への興味は普通にあるが、同時に自制心も普通にある。
なのにいきなり美少女と同居(というか同棲)とか、その苦労は推して知るべし。
ただ、狙ったようなタイミングで無自覚に女の子を口説くような台詞を出す天然ジゴロなところも。

ヒロインは素直クールな双剣使い、生真面目な鉄鎖使い、弱気な騎兵槍使い、自信家な銃使い。
他にも、腹黒な担任や活発な刀使いなどヒロイン昇格候補はまだ複数いるっぽい。
一番のお気に入りは、主人公のパートナーであるユリエ=シグトゥーナ。
銀髪、真紅の瞳、雪色の肌と西洋人形風の外見をした美少女。
普段は外見から受ける印象どおり、物静かで礼儀正しいが、こと戦闘となると別人のような気迫を見せる。
表情があまり変化しないため、内心が読み取りにくいものの、感情の動きはきちんとある様子。
男女の機微に疎く、異性に対しても無防備なことが多かったり、時折大胆な行動を取ることも。
が、決して羞恥心がないわけではなく、着替えや裸を見られるのは恥ずかしい模様。

現時点(十一巻)においての評価はC。
浅葉ゆうさんのイラストも相まって、どのヒロインも実に可愛らしく、ラブコメ的な萌え力も高め。
身体的に強いという設定なのに、理不尽に暴力を振るう娘がいないのも素晴らしい点かと。
ただ、肝心の主人公がなんちゃって復讐者になってる感があり、軸が常にぶれてる印象があるのが難点。
このあたりのシリアス設定とキャラのメンタルのつりあわなさが全体のバランスを悪くしている印象ですね。
ラブコメパートは文句なくニヤニヤできるだけに、正直復讐要素は設定ミスな気がするんですよねこの作品。
バトル面も、頻繁にパワーアップする割にすぐ敵がそれを上回るのでイマイチ爽快感に欠けますし。